WEBワライフ

三河・遠州地域の介護施設検索・介護情報総合サイト「ワライフ」

第9話 改訂された睡眠指針について パートⅢ

睡眠指導士9-01

平成26年3月厚生労働省は「健康づくりのための睡眠指針」を、11年ぶりに大幅改定致しました。

今回も、この改定された睡眠指針について、先回に引き続きなるべく簡潔明瞭に解説させていただき、睡眠指導士の観点から私の所感を述べていきたいと思います。

 

【第6条】良い睡眠のためには、 環境づくりも重要です。

解説⇨身体的にリラックスできる自分にあった寝室環境(温度・湿度・騒音・光・寝具・寝衣など)を整備する事がとても重要です。覚醒水準が高く、興奮した状態はスムーズな入眠を妨げるため寝床に就く1時間前はスマホなどの光源をなるべく避け、部屋の照明も暖色系に制御する事によって睡眠の質は大きく改善されるでしょう。自分にあったリラックス方法を見つける事も良い睡眠になる方法でしょうね。

 

【第7条】若年世代は夜更かし避けて、体内時計のリズムを保つ。

解説⇨現代日本では、中・高校生の間にも携帯電話(スマホ)が広く普及しており、就寝直前の携帯電話(通話・メール・ネット)使用が夜更かしを促進し、睡眠に悪い影響を及ぼしています。思春期の睡眠に関する研究では、一定でない睡眠~覚醒リズムおよび就寝時刻や起床時刻が遅い事が、学業成績の低さと関係している事が示されております。お孫様(お子様)の学力低下の歯止めのためにも家族で良い睡眠の必要性を説いてあげてください。

 

【第8条】勤労世代の 疲労回復・能率アップに、 毎日十分な睡眠を。

解説⇨睡眠不足は、疲労や心身の健康リスクを上げるだけでなく、作業能率を低下させ、生産性の低下、事故やヒューマンエラーの危険性を高める可能性があります。健康成人を対象にした研究では、人間が十分に覚醒して作業を行うことが可能なのは起床後12~13時間が限界であり、起床後15時間を経過すると酒気帯び運転と同じ程度の作業能率、起床後17時間を過ぎると飲酒運転と同じ作業能率まで低下することが示されております。しかしながら仕事の都合、なかなか良い睡眠をとれない状況であれば、昼間の休憩時に数分間目をとじるだけでも、以後の作業能率は改善される事も分かってきています。

 

【第9条】熟年世代は朝晩 メリハリ、ひるまに適度な 運動で良い睡眠。

解説⇨睡眠と覚醒のメリハリをつける方法として、身体の状態に配慮しながら、週に5日以上定期的に適度な運動(体を動かすこと)を取り入れることが大切です。また高齢者の場合、生活上の制限が少ないため十分な時間を睡眠に充てる事ができます。しかし、必要以上に寝床についていると、中途覚醒が出現し、熟眠感が損なわれ、不眠を呈しやすくなる事が指摘されております。日中に過剰な眠気がなければ、昼間は無理して寝ずに上手な睡眠スケジュールを設計することが重要です。

 

本号では6条から9条までを解説致しました。一概に良い睡眠といっても様々な立場や置かれた状況、また年齢や身体的な状態によっても異なります。7条の若年世代(10歳代と定義)8条の勤労世代(社会的属性として働いている者と定義)9条の熟年世代(比較的高齢の者と定義)と条項を分けて解説してあります。

次号では、10条以降と全体の総括をさせていただきます。

前の記事 介護・健康コラム 次の記事