WEBワライフ

三河・遠州地域の介護施設検索・介護情報総合サイト「ワライフ」

第10話 改訂された睡眠指針について パートⅣ

suimin_2014_10

平成26年3月厚生労働省は「健康づくりのための睡眠指針」を、11年ぶりに大幅改定致しました。

今回も、この改定された睡眠指針について、先回に引き続きなるべく簡潔明瞭に解説させていただき、睡眠指導士の観点から私の所感を述べていきたいと思います。

 
【第10条】眠くなってからふとんにはいり、起きる時刻は遅らせない。

解説⇨望んでいる睡眠時間(ボリューム)を確保する為に、目覚めたい時間から逆算して寝床につく時刻を早めれば良いと誤解されている方が多い、今回の指針ではこの部分について、
はっきりとした定義を出しました。「眠れないのではないか?」という不安を助長してしまう恐れがあるくらいならば、いっそ寝床に入らず、部屋の電気を薄暗くし自然に眠くなる事を待つ方が、主観的な睡眠健康満足度の向上に有効です。(簡易認知行動療法・BBTIより)眠りが浅いと感じたら、むしろ積極的に「遅寝」「早起き」を指針では促進しています。

【第11条】いつもと違う睡眠には、要注意。

解説⇨激しいいびき・呼吸停止・手足のびくつき・むずむず感・歯ぎしり等は、様々な生活習慣病の原因になることが示されており、高血圧、糖尿病、脳梗塞、循環器疾患を発症する危険性が高いです。自身の意識としては、寝つきが悪い。眠りが浅い。何度も目が覚めるうえに再入眠し難いということで、熟眠感を得る事ができず、昼間の眠気をもたらす事から始まり、睡眠への重要性や睡眠意識の低さから、そのまま何も対策をせず、休日に寝だめをして回復した気になっています。これは欧米では考えられない程、日本人が睡眠を疎かにしている表れであり、こうしたツケは日中の事故やヒューマンエラー等のパフォーマンス低下をもたらせていると警告しています。症状が現れたら直ぐに専門家に相談しましょう。

【第12条】眠れない、その苦しみをかかえずに、専門家に相談を。

解説⇨夜眠れないことはつらく、知識があっても一人で解決できず、助けが必要なことも多いです。このような場合、苦しみをわかってもらうだけでも気持ちが楽になることがあります。薬物治療を受ける場合には、医師に指示された用法や用量を守る事や、薬剤師の服用指導を受けて使用することが薬物治療の基本であります。一昔前の薬物依存症の様な悪いイメージは、日本国内で医師により処方されている薬剤では払拭されていると言えます。むしろメディアの情報をそのまま自分自身の知識として擦り込み、医師の個別相談を受けずに独自療法をしている方が危険であると、睡眠改善の専門家である私の個人的な見解であります。

ワライフ2月号から本号まで、11年ぶりに大幅改定をした「健康づくりのための睡眠指針」について、睡眠指導士の観点から所感を述べさせていただきました。まだまだ学術的にも解明されていない事も多い現状ですが、この11年という期間は睡眠に対する重要性がメディアに後押しされ急激に高まり、医学的なエビデンスも大幅に増えた事から、次代を見越した改訂に踏み切った背景があると思います。今後も多くの睡眠改善について学術的にも公開されていく事も想定できる事から、熟眠をする事で「美容」にも「学力」にも「肥満防止」や「病気の予防」等々、薬に頼らず自己免疫力を向上させる手段として「熟眠」は人間にとって重要であると、国民全体の価値観が向上する事を望んでおります。次号では冬季うつ病についての解説をさせていただきます。

前の記事 介護・健康コラム 次の記事