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ワライフ認知症講座 第7回

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一歩踏み込んだ知識の習得

家族の不安は続く

 認知症患者の増加に伴い、介護サービスを利用する人は年々増加しています。しかし、自宅で認知症介護を行う事の難しさ、家族の負担を考えると、いつかは施設利用へと移行していくケースが考えられます。では、なぜ自宅から施設へと移ることになるのでしょう? いくつかの要因はありますが、認知症介護においてその多くは、周辺・心理症状(不眠、徘徊、暴言・暴力、不潔行為など)の困った症状の対応に家族が限界を感じてしまうことなのです。そして介護施設へ移ることになります。しかし、その困った症状は施設へ移行しても決して解決する問題ではないのです。介護家族は施設利用が開始になったことで、日々の肉体的介護、精神的負担からは解放されても、心の片隅では「迷惑をかけていないか」、「問題を起こしていないか」などの不安や心配は解消されずにいることがあるのです。周辺・心理症状の緩和にはもちろん、介護技術・技法などの非薬物療法が重要なカギを握りますが、それと同時に医療の適切な介入も必要となります。住み慣れた自宅でいつまでも暮らしたいという気持ちは多くの方が持っています。ですから認知症介護で家族が限界になる前に適切なサービスと医療を上手に取り入れることが重要となります。

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場所が変わっても同じこと

 介護施設といっても様々です。身の回りの事は自分で行え、将来の事を考えて介護サービス付の施設を選ぶ方、一人暮らしの寂しさから施設を希望する方など様々です。しかし、多くの場合、認知症による介護困難事情があると言われています。もし、認知症で物忘れがあっても、いつも笑っていて、「なんだかわからないけど、ありがとう」と言っている方なら自宅で家族が介護することができるはずです。早々に施設利用とはならないのです。しかし、不眠や暴言・暴力、不潔行為などが強い場合は家族も大変です。
 多くの介護施設は入所基準の記載に「認知症可」と書いてあるものの、強い症状がある場合には断られてしまうケースもあります。施設利用となっても、強い周辺・心理症状があるままでは、現場の介護職員は大変な苦労をすることになるでしょう。それは、認知症を「十把一絡」と認識してしまうからです。「ああ、認知症ね」、「すぐに怒るんだって」、「夜寝ないそうよ」と大きな枠組みで捉えてしまい、個々の認知症のタイプ別特徴までは分からないのが現状です。そうなると、現場では忍耐勝負となり、介護職員の肉体的・精神的疲労が増し、モチベーションの低下となるのです。

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 これらを解決するためには、認知症とは何か、物忘れだけではなく、タイプ別特徴を認識することが必要です。介護技術として、前頭側頭型認知症(ピック病)であれば、行動を妨げない、急な易怒(スイッチ易怒)に気をつける、異食に注意する、レビー小体型認知症では、まずは転倒に注意する、幻視、幻覚があり、夜間の睡眠障害が多く見られるなどの知識を身に着け、対応策を検討する。医療知識としては、中核薬(抗認知症治療薬)の副作用の有無、用量が過剰ではないか、抑制系薬剤(穏やかになる薬)の副作用で過鎮静(抗精神薬が効き過ぎている状態)ではないかなどを見極める必要があるのです。薬は医療の守備範囲であるという概念が介護業界には強く根付いているため、介護職員は医療に対して口出しすることができない現状があるのです。

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 もちろん介護職としての対応、スキルは日々磨く必要があるが、それだけでは、根本的な解決にはならないのです。人生の大先輩である高齢の方に対する接し方、尊敬の念は基本であるが、認知症は病気であるという基本知識、タイプ別特徴を知り、上手に医療の力を利用することが大切です。現在の介護施設の多くが、介護力で支えているのですが、もう一歩踏み込んだ知識を身に着けることで、ご利用者様の生活の質の向上や、家族の精神的負担の軽減が望め、また、現場で働く介護職員の負担軽減、やりがいにもつながることでしょう。介護畑に長くいらっしゃる方ほど医療と介護の狭間で身動きがとれないと言われますが、今こそ改革が必要な時期なのです。その一歩の知識を得るための講習会が開催されます。認知症は医療の力で改善することを前提に、各タイプ別特徴や治療法、介護職員でも学べる実践的、専門的な内容になっています。ぜひ、参加して頂き、一歩踏み込んだ認知症ケアを実践しましょう。

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