肝内胆管癌


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肝内胆管

 最近、肝内胆管がんと言う、聞きなれないがんで亡くなる有名人が多いです。柔道家のS選手、K女優などです。
 肝内胆管がどこにあって、どのような働きをしているのかから話を始めていきましょう。場所としては肝臓の中です。胆嚢との関連もしています。そこで肝臓の働きから始めます。
 肝臓は身体のほぼ真ん中、肺の下にあり、ほぼ肋骨に囲われた位置にあります。臓器としては最大の臓器で、重さは1.2〜1.5㎏あります。肝臓の働きは代謝、解毒、胆汁の分泌、血液凝固に関する機能などを持っています。また血液の流入も多く、腹腔動脈から酸素の富んだ血液が、さらに消化管と脾臓から栄養に富んだ静脈血を取り込む門脈があり、両方で一分間に1〜1.8リットルの血液が肝臓の中を通過していきます。この大量に流入する血液を代謝、解毒するのが肝臓の働きです。代謝とは、肝臓は門脈から取り込んだ栄養を、体の要求する形に加工したり、一時的に貯蔵して、体の必要に応じて血液中に送り出す役割をしています。解毒とは、有害物質を酸化、還元、抱合(他の物質で包み込む)などによって、無害で水に溶けやすい形に変え、尿や胆汁の中に排泄する働きです。
 肝臓の働きとして、胆汁の分泌があります。胆汁は肝細胞で作られ、胆細管と呼ばれるすきまがあり、そこに胆汁が集まって小葉間胆管を経て肝管を通り肝臓外へ出ます。肝管は肝門部で合流して総肝管になった後、胆嚢とつながる胆嚢管と合流して総胆管になり、十二指腸の開口部であるファーター乳頭にいたります。
 肝臓内から胆嚢にいたるまでの胆管が肝内胆管、胆嚢から十二指腸にいたるまでの胆管を肝外胆管と言います。

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肝内胆管がん

 肝内胆管がんは前述した、肝臓内の胆管に出来たがんです。組織的には肝内胆管、胆嚢、肝外胆管共に平滑筋です。肝外胆管にがんが出来た場合、胆管を塞ぐようにして腫瘍が形成されることが多く、胆汁が流れなくなり、早期に黄疸などの自覚症状が出るため、比較的早期発見されることが多いです。胆嚢がんも内部に腫瘤を形成することが多く、定期的に超音波検査を受けている方は早期に見つけることが出来ます。
 肝内胆管がんの場合は、胆管の中にがんが出来て腫瘤を形成しても一部の胆管を塞ぐだけで黄疸を生じることもなく、また肝臓内に浸潤しても、肝機能に異常をきたすまで大きくなるには、肝臓の予備能が大変大きいために、自覚症状が出ることは稀です。逆に言えば、自覚症状があってから見つけられた、肝内胆管がんは既に転移していて、完治が困難な場合が多いです。

症例一

 最初の方は、発熱で近医を受診したところ、血液検査で肝障害が見られ、総合病院に紹介された方です。
 精査を行ったところ肝内胆管癌と診断され、病期診断目的にてPET検査を行いました。
 図2はPETの腹部MIP像です。黄矢印で示す三角形の緑色の集積は肝臓です。その中の赤矢印の不均一な集積が肝内胆管癌です。

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 図3にCT、Fusion(PETとCTの重ね合わせ画像)とPET画像の横断面を示します。CTでは肝右葉S7区域を主体に辺縁が不整形で、中心部に不正形な等吸収域を伴う径6㎝の腫瘍が見られます。PETではその腫瘍に一致して不均一な集積が見られます。Fusion画像ではその位置関係がはっきりとわかります。
 この方は早期の発見に値しますので、手術による治療が可能です。ただしこのがんは再発も多いので、厳重な経過観察が必要です。

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症例二

 2例目の方は、PET健診を受診して見つかった方です。この方は家族の健康にも気を使う方でした。2年前にも他の施設でPET健診をお受けになっていましたが、今回は当院でお受けになりました。
 当健診では最初に超音波検査を行います。既にその時点で肝臓に大きな腫瘍があることがわかります(図4)。
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CTにおいても、肝右葉S7/8区域に大きな腫瘍があることがわかります(図5)。
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 PET検査の結果は図6で示すとおり大きな肝内胆管がん(赤矢印)だけでなく、肺などにすでに転移していました(黄矢印)。この時は何の自覚症状もなかったのですが、肝機能の数値は異常を示していました。
 すぐに専門病院を紹介し、治療を始めましたが、がんの勢いはとまらず2ヵ月後のPET(図7)では、元のがんも大きくなっていますが、転移もさらに広がっています。
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まとめ

 肝内胆管がんは、肝臓がんの一種として分類されています。一般の肝臓がんは肝炎などを起因として発症することが多いので、常に病院で経過観察されているために、早く見つけることが出来ます。ところが肝内胆管がんの発症の原因は特定されておらず(K女優のようにアルコール飲料との関係はありません)、注意すべき生活上の問題を指摘できません。また発症すると予後が大変悪く、亡くなる方の多いがんの一つです。
 定期的な健康診断をしましょう。

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