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ワライフ認知症講座 第11回

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健康補助食品と認知症

サプリメントの賛否

 現在、多くの健康補助食品の話題が連日取り上げられていますが、それらに対する見解も様々です。その中には医薬品に類似するほどの作用がある物まであると言われています。医師の見解も分かれており、混合診療の問題、科学的根拠がないという理由から、サプリメント自体を推奨しない医師も多くいるのです。認知症に関しても様々な健康補助食品が販売されていますが、金銭的な理由でそれらを購入することが困難な方がいることから、安易に健康補助食品を推奨するべきではないと言う医師の意見も多くあります。それでも患者や家族が「いかなる手段でも認知症を改善させたい」という思いは、認知症に限らず、様々な疾患に対しても共通しているのです。インターネットが急激に普及している現代では、医師もそれらの代替治療に関して「知らない」では済まない時代になっているのです。今回は、コウノメソッドでも推奨されている、「米ぬか脳活性食」をご紹介します。
 米ぬか脳活性食は、フェルラ酸とガーデンアンゼリカを配合した健康補助食品です。フェルラ酸は、米ぬかなどに含まれる植物の細胞壁を構成するポリフェノールの一種で、強い抗酸化作用を持ちます。フェルラ酸は、アルツハイマー型認知症の原因物質であるアミロイドβの凝集を不安定化したという試験管内実験の結果が報告されています。(金沢大学医学部・山田正仁教授)アルツハイマー型認知症の進行過程では、アミロイドβというタンパク質が脳内で凝集し老人班を作り、神経細胞を死滅させると言われています。その過程でフェルラ酸はアミロイドβの凝集を防ぐ働きがあるという観点から、認知症になりにくいと言われています。ガーデンアンゼリカ(西洋トウキ)は、セリカシシウド属の二年草、多年草。強壮や消化促進に優れた作用があり、ヨーロッパを中心に古くから薬用、食用のハーブとして用いられていますが、日本では食品扱いになっています。

(参考文献:新しい認知症ケア・河野和彦)
(論文:認知症におけるフェルラ酸とガーデンアンゼリカエキス・認知機能及びBPSDに対する効果・国立病院機構菊池病院・木村武実医師)

認知症講座第11回_1

 アルツハイマー型認知症に対する報告も多いのですが、筆者の経験では、前頭側頭葉変性症のピック病に対しての改善に注目しています。

70代女性のケース

 夫と暮らしているが、3年前から様々な症状が出現し、夫(MCI:軽度認知機能障害の疑い)の依頼でケアマネジャーを担当することになりました。医師からはアルツハイマー型認知症と診断されており、抗認知症薬のアリセプトが処方されていた。本人には自覚症状はないが、処方開始から徘徊が増え、興奮して夫に暴言を言うようになっていました。様々な行動・症状からその姿は、ピック病であると思いました。

認知症講座第11回_2

 その後、セカンドオピニオンで認知症専門医を受診し、前頭側頭葉変性症のピック病と診断を受けました。
 常に興奮していることから、処方を見直していただき経過観察することになりましたが、「落ち着かない、不安」などの症状は治まりませんでした。他人の事は気にせずに一方的な行動もあり、夫や近隣の方は困っていました。
 家族の同意の下、米ぬか脳活性食を試してみることになりました。
 1か月後、夫に聞き取りをすると、大きく変化はないが、「なんとなくけんかの頻度はへったかな?」と言われました。
 3か月後、夫に対して少しではあるが気を遣うようになったそうです。
 担当時からデイサービス利用も開始していましたが、利用時には落ち着きがなく、他の利用者さんからもクレームがあり、休みの日は体調が悪いなど、一日に何度も電話をするなど、デイ職員も困っていました。米ぬか脳活性食を開始して半年近くなったころには、そのような行動や症状は減少し、デイサービスにも問題なく通っています。処方だけでは解決できない症状もあることから、このような選択肢を持っておく必要もあるのだと、あらためて気づいたケースでした。現在では、夫も予防のため米ぬか脳活性食を服用しており、夫婦での生活を維持しています。

第2回認知症治療研究会

 今年も、開催された第2回認知症治療研究会で発表された、岩手県盛岡市、ものがたり診療所の松嶋大医師の言葉に会場中が熱いものに包まれました。コウノメソッド実践医である松嶋医師は、認知症外来と訪問診療を中心に、多くの患者さんを支えているのですが、真剣に患者様と向き合う姿勢に地域では絶大な信頼を得ているのです。演題の一つに「奇跡は起きるものではなく、起こすもの」という言葉がありました。

認知症講座第11回_03

 現在の認知症医療では、「認知症=治らない」ということが前提の医療が多く、医師でさえ治らないと思っているのです。しかし、本人や家族は諦めていないのです。松嶋医師はコウノメソッドを取り入れ、「諦めない医療を」を展開されています。
 認知症治療研究会は、このような諦めない認知症治療を実践する医師やその他のコメディカル、介護家族が参加する研究会です。毎回、新しい治療や知識が発表され、認知症で苦しんでいる方々からは大変注目されています。
来年の開催は、2017年2月26日
会場:パシフィコ横浜 メインホール

認知症ケア実践塾

 2016年9月、第1回目の開催を予定している勉強会をご紹介します。
 認知症ケア実践塾は、名古屋フォレストクリニック院長である、河野和彦医師が提唱している「コウノメソッド」を基本とし、介護職が認知症医療の理解を深め、日々の業務に直ちに実践できるような内容を計画しています。多くの認知症関連の研修会では解決できなかった問題を実際の事例を交え、その対処法を学ぶことで、今後予想されている認知症大爆発時代に対応できるスキルを身に着ける勉強会です。参加希望者は原則、介護従事者に限りますが、職種に関係なく学べるように計画をしています。
・ケアマネジャーとして認知症のケースに不安や悩みを抱えている
・介護事業所で、様々な認知症の症状に振り回されている
・施設入所者の様々な症状でスタッフが疲れ切っている
・今後ケアマネジャーとして働きたいので認知症について勉強したい
・認知症研修会には行ったが実際の解決にはならなかった
 開催回数は全6回で。基本全6回の参加が条件となります。参加人数は少人数制を予定しておりますので、定員になり次第、締め切らせて頂きます。
 受講代は無料ですが、資料代、会場費の負担金として1回/1,000円が別途必要になります。
開催場所:刈谷市・産業振興センター
JR刈谷駅から徒歩3分
講師:㈱ミヤビハウス 小板建太

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