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親の介護 アルツハイマーの母から学んだこと その十五

親の介護 アルツハイマーの母から学んだこと その十五

立ち上がろうとしただけで骨折

私のことを我が子だという認識がはっきりしなくなったころ母の腰にひびが入りました。程度は軽かったので車椅子での移動は可能でしたが、この状態でふと立ち上がるなど急に腰に負担がかかる動作は骨折につながるので厳禁でした。しかし認知症である母がそのことを常に意識できるわけはなく、腰を痛めていることさえも忘れ立ち上がろうとしたため骨折してしまいました。その時いた病棟では対応できず一時的に整形外科に転院することになりました。結局、腰の骨折がきっかけで寝たきりの状態になりました。

骨折後は『寝たきりに』

骨はつながり認知症の病棟へと戻ましたが、歩行が回復することはありませでした。通常の人であれば肉体的には歩くためのリハビリができる状態ですが、母には無理だったようです。それからは寝たきりの状態になり、急速に認知症の症状はすすんでいきました。それまでは相手が誰かはわかっていなくともある程度の会話はできました。「お腹空いてる?」「何か食べたいものある?」「どこか痛いとこある?」などの問いかけには、本当の状態は本人が自覚しているか否かはわかりませんが、「(お腹)空いてない」「どっこも痛くない」などの返事はできました。寝たきりの状態になり問いかけに答えないことが徐々に多くなりました。

『寝たきりから』やがて『鼻に管(経鼻経管栄養法)』へ

症状の悪化はすすみ、人の認識や受け答えにとどまらず、言葉を発する行為そのもの、さらには食べる行為そのものにまで支障をきたすようになりました。私は食欲は本能的にあるものと思っていたため、認知症が「食べる」ことさえも失わせることを知りませでした。贅沢をしない母が唯一といっていいほど喜んでいたのは甘いものや美味しいものを食べることでしたが、それさえも奪われてしました。
母は骨折により寝たきりになって一年も経たぬうちに、鼻から胃に管を通し液状になった食物を補給する『経鼻経管栄養法(NG)』をすることになりました。

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