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日本の介護・医療の現場 シリーズ③日本の障がい福祉サービス

日本の人口は毎年約20万人の減少、経済の活性化を保つための若い人たちが働く場が企業、製造業だとすれば、経済効果を生まない医療福祉にどれだけの資金と若い力が投入されるのか多くの問題があり、日本の住宅事情や習慣文化に合わせた老人介護の取り組みが必要と前回にお話ししました。シリーズ③は日本の障がい者の取り組みについてお話しいたします。

「障がいのある人」の自立、社会参加には依然、障壁が

国の障がい者における歴史は,昭和56年の「国際障害者年」,昭和58年の「国連・障害者の十年」を契機にその定義を「日常生活や社会生活上の支障を有する障がい者である」とされました。平成5年6月には障がい者の社会復帰を目的に、「施設から地域社会へ」のテーマで「ノーマライゼーションを基本的な理念とした新長期計画」が策定され、「障がいのある人」が「障がいのない人」と地域で共に生活することは自然なことであるという認識に変わっています。しかし「障がいのある人」が地域社会で自立し社会参加していくには、依然として様々な障壁が多くあり受け入られない場面も多々あります。それぞれの地域での福祉施策推進と障がい者福祉の理念とのバランスがとれず、さらに、国や地方自治体自体の財政破たんの影響で予算が削減され、地道な福祉推進が遅れがちです。

 

身体障害・知的障害・精神障害を一元化

「障がい者自立支援法」は2005年(平成17年)に作成され、「障がい種別(身体障害、知的障害、精神障害)にかかわらず障害者の自立した日常生活又は社会生活を営むことができるよう必要な障害福祉サービスに係る支援を行い、福祉の増進を図るとともに障がいの有無にかかわらず国民が相互に人格と個性を尊重し安心して暮らすことのできる地域社会の実現に寄与することを目的とする」と言う内容で平成18年4月から施行されました。3障害(精神障害・知的障害・身体障害)の一元化に向かった整備が進み、平成25年4月から「障害者自立支援法」を、新しく「障害者総合支援法」に名前を変えての再出発となっています。過去の自立支援法の施策がどの程度達成されたのか?その分析評価も公表されてはおらず、福祉サービスの一元化がどこまで進んでいるのかも明確ではありません。しかし平成25年度から名前を変えた総合的支援とは障害を種別ではなくひとまとめで自立を促し支援をして行くと言う事でした。

 

「入院医療から地域医療へ」

3種類障がい支援事業所を一つにまとめるという事で、経費節約し障害種別があるにもかかわらず相談事業を一元化しました。また医療費用や介護サービス費用の削減を目的に「入院医療から地域医療へ」と変わる事となります。診療所はその地域のホームドクターの機能を担い、もしもの病状の悪化などは即座に対応できる様に病院と診療所との連携は重要になることでしょう。市町村は病人や体の不自由なご老人なども含めて在宅復帰の推進を行っています。しかし病状の重いご老人の帰る家は無く、病状の安定したご老人が家庭の事情で帰る家も無く、施設への移行を必要としています。特別養護老人ホーム、老人保健施設それの加えて、生活の場としてのサービス付き高齢者住宅・・・等々へ入居する事は更なる課題となる事でしょう。

 

加藤 仁 氏 
生年月日:S22年(1947)3月3日
ユニオン・ホールディングス株式会社・代表取締役・社長
特定医療法人・共和会・最高顧問
社団医療法人・大仲会・理事長
愛知県医療法人協会・参事

 

 

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WEBワライフ日本の介護・医療の現場シリーズ②かかりつけ医と在宅医療

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