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愛知県のグループホーム整備促進支援制度⑥体験談

今回からはグループホームを運営されている方の体験談をご紹介します。

 

 

体験談1「養護者からの自立」

1-1ホームの概要

障害種別等(下記の注を参照してください)
 知的障害 区分4~6

定員等
 各ホーム3~4名
 男性のホーム4か所(新築3件、借家2階建て1件)
 女性のホーム2か所(新築平家)

 

1-2ホームの説明 養護者が介護をするのが難しい人などを優先

・当法人は複数のホームを運営しています。

・あるホームについては、当法人の生活介護事業所を利用している方々で、「ホーム」で生活していきたいと思っている人たちの中から、障害の程度が重い人たち、家族構成で片親の方、養護者の年齢が高い方等 を考慮し、養護者の方々と話し合い、利用者が決まりました。

・在宅のまま養護者が介護をするのが難しい方、突然母親が大病にかか ってしまった方等の入居を優先しました。

 

相性や特性を配慮し間取り

・同性且つできるだけ少人数で生活していくホーム作りをしました。ま た相性や利用者の特性を十分配慮した間取りの工夫をしました。

・グループホームは支援者の中で中心となる方が重要で、正規職員を中心に位置付け、安易なスタッフのローテーションで支援体制を崩さな いようにしています。

 

 

1-3苦労した体験 近隣から怖いと苦情や利用者のパニック状態など

・ホームでの生活がスタートした直後、利用者によっては不眠やスト レスを抱えてしまった方がいました。

・利用者が、ベランダから前の家の方が通ると大きな声で叫んでしまうことが続き、近隣の方から大変怖いという苦情を受けたました。また利用者のパニック状態が続きました。

 

1-4解決・収束 近隣の人たちとホームで繰り返し話し合い

・慣れるまでその人に合った泊り方をするようにしました。ホーム入居前の家庭で家族との生活からいきなりホームの生活に移行することは利用者にはとてもストレスになることを十分理解したうえで、 家族との協力で土・日は家に帰るということも重要だと思います。

近隣の方々の利用者に対する不安に関しては、ホームで数回にわたり、話し合いを行いました。近隣の方の理解を得ることに苦労しましたが、世話人スタッフがこのような環境の中でも、頑張って笑顔で挨拶し続け、立ち話ができるまでにしてくれました。

 

会報を毎月、近隣にポスティング

・近隣の方たちは、障害を持っている人たちが、どのような生活をしているのか全くわからないところから来る不安が苦情となっていくことから、情報を提供する意味で、事業所の取り組みとして、毎月、会報 をホームの近隣にポスティングするようにしました。 今は本人も落ち着いてきましたし、問題は起こっておりません。

スタッフが寄り添いパニックの原因を考える

・本人のパニック状態への対応については、どのような時にそのような行動をとるのか観察しながら、スタッフが寄り添うことを大切にしました。今回のケースでは、本人は以前、母親を亡くして施設に入れられた経験があり、父親と離れた暮らすことに不安があったことが原因だと考えられるため、父親から必ず毎日ホームに電話をか けてもらい、本人が安心して生活できるよう努めました

 

 

1-5この体験後こころがけていること 障害について理解してもらう努力

利用者1人ひとりの状況に合わせて、泊まり方を工夫するようにしています。

・近隣の方々の理解を得るために、話し合いの機会を持ったり、障害について理解してもらおうと努力しています。また、パニックを起こす利用者については、その原因を早期に究明し、対応できるよう心掛け、 近隣の方に安心してもらえるよう努めています。

 

 

1-6新規開設を希望される方へ 精神的自立を促すための支援を

 今回の体験談では、養護者と離れて暮らすことに不安を感じてしまう利用者のことをご紹介しました。障害のある方であっても、養護者からの精神的自立は非常に重要です。精神的自立を促すために、スタッ フ間で十分話し合い支援していくことが大切だと思います。

 

 

 

体験談2「利用者同士のトラブル」

2-1ホームの概要

障害種別等

 知的障害(A判定、B判定)、精神障害(区分 2)

定員等

 6名 (男性 3 名 女性 3 名(当時))

ホームの特徴

 平成22年から建設会社の寮を賃貸で使用しています。
 夜間支援体制加算Ⅲ。2階建て。居室は 7.5 畳(物入れ 1 畳)

 

2-2ホームの説明 知的障害者の住居(グループホーム)として発足

・家族から親なき後の生活支援を依頼されていた知的障害者(男性・A 判定)の住居(グループホーム)として発足しました。

・同時に入居したのは他のグループホームで生活していた知的障害者の 女性 2 名(共に B 判定)と病院から退院した精神障害者(女性)、アパ ート生活をしていた精神障害者(男性)、病院から退院した精神障害者 (男性)で 6 人の生活が始まりました。

・1 階に男性、2 階に女性が住み、風呂と居間(台所)は 1 階。トイレは 各階に1つあります。

・世話人は日中の活動の場を休んだ人への支援、食事作り(夕食)と生活相談、医療機関同行受診、土日の巡回支援、緊急時の対応等をして います。

 

2-3苦労した体験 セクハラ問題の発生

・男性利用者(60 代、精神障害)から女性利用者(30 代、知的障害)に対す るセクハラ問題がありました。

・両者が互いの部屋に行き来するようになりました。きっかけは男性が手をかざすことでパワーをあげるという誘いによるものでした。女性 も「叔父さん」に興味があったようでした。

・まもなく男性が女性にキスを迫ったり抱きついたりするようになりま した。共用室で 2 人だけになった時もセクハラを受けていたようです。

・女性が被害を一部の職員に打ち明けていたことから発覚し、関係者で ケア会議をした方がよいという結論になりました。

 

 

2-4解決・収束 訪問介護、居宅介護などで投薬管理等の支援

・当事者を入れた会議、病院関係者、家族も入れた会議を持ちました。

服薬管理等単身生活が維持できず、グループホームへ

男性はかつて服薬管理等単身生活が維持できず、グループホームしか道がないと言われて入居していました。

・女性から男性と同じグループホームで生活するのは嫌だと言われ、男性が退去するしか道はないことが分かりました。

 

 

アパート生活を投薬管理等で支援を継続

・男性のグループホームを退所してのアパート生活は家族から懸念する声が強くありましたが、訪問看護、居宅介護、日中活動の場を利用することにより、服薬管理等の支援を継続することになりました。

・男性は生活保護を受給していたため、アパートの敷金礼金も用意する ことができました。

・女性の日中の活動の場の利用が少なくなると声掛けをして見守ってい ます。

・男性も地域での単身生活を謳歌しており病状の再燃等は見られません。

・男性には毎月モニタリングを実施しています

 

2-5この体験後こころがけていること 「アパート」も選択肢に入れて支援

・利用者からの相談は、当事者の了解を得て、問題が大きくなる前に施設として対応するようにしています。

・地域生活は家族、病院の「グループホーム」が適切という要望に惑わされず、当事者の気持ちに沿って「アパート」も選択肢に入れて支援するようにしています。

 

 

 

2-6新規開設を希望される方へ 利用者が納得できる支援を

 利用者の問題行動を抑えるような対策を考えるより、視点を改め、利用者が納得される解決の手立てを考えることが大切だと思います。

 

 

注 障害種別について

 障害者総合支援法では「障害の多様な特性その他の心身の状態に応じて必要とされる標準的な支援の度合を総合的に示すもの」とされています。

 障害の種類には、①身体障害者②知的障害者③精神障害者 ④その他の障害者(発達障害、高次脳機能障害、難病、その他)があり、それぞれ障害の程度に応じ細かい区分がされています。

 

グループホーム整備促進支援制度について – 愛知県

WEBワライフ「愛知県のグループホーム整備促進支援制度①開設までの準備」

WEBワライフ「愛知県のグループホーム整備促進支援制度②開設までの準備その2」

WEBワライフ「愛知県のグループホーム整備促進支援制度③開設までの準備その3」

WEBワライフ「愛知県のグループホーム整備促進支援制度④運営」

WEBワライフ「愛知県のグループホーム整備促進支援制度⑤運営その2」

WEBワライフ「愛知県のグループホーム整備促進支援制度⑦体験談その2」

WEBワライフ「愛知県のグループホーム整備促進支援制度⑧体験談その3」

WEBワライフ「愛知県のグループホーム整備促進支援制度⑨まとめ」

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