人権は守られているか? 高齢者・障害者への人権侵害について①


日本国憲法の三大原則をおぼえていますか?

  • 「国民主権」
  • 「基本的人権の尊重」
  • 「平和主義」

 どれも今の重要な課題だと思いませんか? 民主主義、人権、人命、平和にかかわることがらが毎日、ニュースになっています。日常生活にかかわる身近な問題です。いろいろな意見があると思いますが、一人ひとりが普段から考えないといけないことではないでしょうか。

 憲法で保障される三大原則のひとつ人権についてお伝えします。

 

 人権侵害、差別に関する案件で、「女性」「子ども」「高齢者」「障害者」などいわゆる『社会的弱者』と言われる人たちが占める割合は非常に高くなっています。ニュースに取り上げられるような大きな問題から、日常生活で、当事者にしかわからない人権侵害、差別もあり、自覚しないまま他者を傷つけてしまっていることもあるでしょう。

 

「人権とは」と聞かれたら、あなたは何とこたえますか?

 「人権」という言葉は誰もが耳にしていると思いますが、改めておさらいします。

 人権とは、「全ての人々が生命と自由を確保し、それぞれの幸福を追求する権利」あるいは「人間が人間らしく生きる権利で、生まれながらに持つ権利」とされ、身近で大切なものです。

 

憲法で保障される基本的人権

「基本的人権は、侵すことのできない永久の権利」

第11条「…基本的人権は、侵すことのできない永久の権利として、現在及び将来の国民に与へられる。」

第12条「…国民に保障する自由及び権利は、国民の不断の努力によつて、これを保持しなければならない。…」とされています。

 

「法の下の平等」

第14条「すべて国民は、法の下に平等であつて、人種、信条、性別、社会的身分又は門地(※1)により、政治的、経済的又は社会的関係において、差別されない。

 

「健康で文化的な最低限度の生活を営む権利」(生存権)

第25条「すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。」

 

 しかし現在も「パワハラ」「女性差別」「DV(※2)」「セクハラ」「子どもへの虐待」「ネグレクト」「貧困」「いじめ」「○○カースト」「ヘイトスピーチ」などの単語を聞かない日がないほど、「人権」を侵害する行為は続いています。

 

 

 さらには、先進国と呼ばれれる国の中での貧困率について、日本は特に子どもの6人に1人が貧困という調査結果が話題になりました。また社会全体に序列化が以前に増し顕著となり、新たな『階級社会』がはじまっていると指摘する人もいます。

※1「門地(もんち)」…家柄、家格、生まれ

※2「DV」…ドメスティック・バイオレンス。同居関係にある配偶者や内縁関係の間で起こる家庭内暴力身体的暴力だけでなく心理的暴力経済的暴力性的暴力も含む

 

人権侵犯の実態

 法務局が扱った人権侵犯事件(人権が侵害された疑いのある事件)の新規救済手続開始件数(※1)22,930件(2012年)で増加傾向にあります。

 内訳をみると「暴行・虐待」(4,977件)が最も多く、次に「学校におけるいじめ」(3,988件)と続きます。「暴行・虐待」事案の被害者の8割以上を、女性や児童、高齢者・障害者が占めています。

 

 上記の数字は法務局が人権侵犯事件の新規救済手続開始件数です。しかし、女性へのDV、職場での差別、セクハラなど、また児童への虐待、いじめ、体罰などなど、届けが出されれない、もしくは出せない人たちが相当数いると思われます。また高齢化社会の進行によって急増する高齢者や、700万人以上とされる障害者への人権侵害も大きな問題となっています。

 今回は「高齢者」「障害のある人」への人権侵害について取り上げます。

※1新規救済手続開始件数…「人権を侵害された」という被害者の申出を受けるなどして救済手続を開始した件数。

 

 

「高齢者」「障害のある人」への人権侵害

                (2012年内閣府調査)

高齢者の人権侵害

高齢者に関して、どんな問題が起きていると思いますか?」(複数回答)

  • 悪徳商法の被害が多いこと…………50.6%
  • 経済的に自立が困難なこと…………40.6%
  • 働く能力を発揮する機会が少ないこと…………39.3%
  • 高齢者が邪魔者扱いされ,つまはじきにされること…………31.0%
  • 病院での看護や養護施設において劣悪な処遇や虐待を受けること…………30.0%

 

障害のある人への人権侵害

障害者に関して、どんな問題が起きていると思いますか?」(複数回答)

  • 就職・職場で不利な扱いを受けること…………47.0%
  • じろじろ見られたり,避けられたりすること…………44.7%
  • 差別的な言動をされること…………39.8%
  • 職場,学校等で嫌がらせやいじめを受けること…………35.5%
  • 結婚問題で周囲の反対を受けること…………26.8%

 

障害がある人への差別があると思いますか?……ある思う89.2%

障害がある人への差別・偏見があると思いますか? あると思う……89.2%

                        ないと思う……9.7%

                         

虐待とは…身体的、心理的、経済的、性的など

 暴行・虐待などの特に重大な被害を受けやすいのが、介護・支援を必要とする人です。

身体的虐待

  • 殴る、蹴る、つねる、やけどをさせるなど暴力を振るう
  • 体を縛りつける、過剰な投薬で動きを抑制 など

心理的虐待

  • どなる、ののしる、無視する、脅しや侮辱などの言葉や態度で精神的に苦痛を与える など

経済的虐待

  • 必要なお金を与えない
  • 本人の合意なく預貯金や年金・賃金などを流用
  • 勝手に財産を処分 など

性的虐待

  • 性的行為の強要
  • 下半身を裸にして放置 など

ネグレクト(世話の放棄)

  • おむつを替えない
  • 食事を与えない
  • 入浴をさせない
  • 不潔な環境に置く
  • 必要な医療・介護サービスを受けさせない など

 

表面化しにくい家庭での虐待

 虐待は高齢者や障害者を介護する家庭だけでなく、社会福祉施設でも起こっています。家庭では介護疲れにより精神的に追い詰められ、虐待に至る場合が多いようです。被害者が認知症を患っていたり、寝たきりだったりで、虐待が表面化しにくいのも特徴です。

 

 

WEBワライフ「人権は守られているか? 高齢者・障害者への人権侵害について②」に続きます。

 

 

 

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