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地域に選ばれる法人を目指すには 看護・介護の質向上を図るために職員の人材育成をすることが要

西園民子顔写真医療法人 社団福祉会 看護・介護統括部長
認定看護管理者 西園 民子

 

 

当法人は100年の歴史をもち、169床のケアミックス型の病院を中心に老人保健施設、訪問看護ステーション、デイサービスセンター等10の事業を展開し、地域密着で医療と介護サービスを提供しています。アットホームで地元の住民の方からは利用しやすい病院として評価され、働きやすい職場として勤務年数が長い職員が多くいます。しかし利用者様や家族の医療や福祉に対するニーズの向上や多様化、職員の仕事に対する意識の差があり、利用者中心でなく業務優先の対応が間々見られ、看護・介護の質の向上を図り、利用者中心のサービスが提供できるようにする必要があります。

 

看護・介護職員の教育システムを創る

看護・介護の質向上に今、当法人に必要なことは、倫理観の向上を基盤とした看護・介護職員の教育システムを整備することです。法人の方針として職員の教育・研修の必要性について理解があり、予算化もされています。
看護・介護職員の教育システム構築は2年計画で考えています。

昨年は職員の看護・介護に対する意識と教育ニーズを把握し、教育に対する動機づけを目的として、法人内職員全員に記述式アンケートを行いました。質問内容は

1.どのような看護職(介護職)になりたいですか
2.どのような学習をしたいと思いますか

の2点です。看護職111名、介護職116名から回答が得られ回収率は98.2%と97.5%でした。理想の看護職像244、学習ニーズ183、理想の介護職像257、学習ニーズ182の記述がありました。 理想の看護職像(表1)は、患者家族から信頼される、患者のニーズに合った実践ができる、優しさ・思いやりを持った実践をする、患者の立場に立って実践する、明るく笑顔で実践するでした。看護職として必要な態度のみならず、看護援助において患者擁護の役割を認識した理想像が抽出されました。

理想の介護職像(表2)は、介護技術ができる、利用者の立場になって介護できる、信頼される、笑顔で対応できる、楽しさ、幸せを感じてもらえるでした。介護職として必要な態度のみならず、介護技術ができることが多かったのは、介護職の専門性が発展途上であることや介護職の卒後教育が不十分であることを示唆しています。看護職の学習ニーズ(表3)は、一般的な看護知識、専門分野の看護知識、看護技術でした。介護職の学習ニーズ(表4)は、介護技術が圧倒的に多くありました。学習ニーズで、一般的な看護知識、看護技術、介護技術が多かったのは、当院の教育体制が整っていない結果と考えられます。この結果を反映して

1.倫理的実践ができる看護・介護職の育成
2.看護援助、介護技術ができる看護・介護職の育成、
3.基礎的看護知識・介護技術教育の実施を目指して、教育システムを創りたいと思います。

 

倫理研修の継続

昨年は全職員を対象に倫理研修を4回実施しました。目的は利用者様の権利を守り、利用者様を尊重し擁護できる倫理的行動がとれるようにすることです。自分の日頃の仕事を振り返り次の5つの質問に答えてもらいます。

1.私は、誰にでもいつでも挨拶ができないことがある
2.私は、人にムスッとした印象を与えていることがある
3.私は、利用者様に対して言葉がきつくなることがある
4.私は、利用者を傷つける言葉や行動をとっているかもしれない
5.私は、利用者様の話を真剣に聞けない時がある

医療・福祉に関わる人間でも常に完璧な倫理的行動をとることは難しいので、自分の日頃の行動でいくつか該当するのではと振り返って自覚することが、倫理的行動の基本であることを強調しています。これは全職員対象研修として毎年継続し、今年は8回実施する予定です。

 

認知症サポーター養成講座

これは厚生労働省のオレンジプランの一環で計画されている一般住民を対象とした講座です。従来より認知症に関する研修には多くの職員が参加していますが、全職員の認知症の方への対応の基本的ベースを統一するために26年度に全職員が受講できるように計画し5月から開始します。 職員の思い、ニーズを大切にし、本法人のレベルに合わせた、働きやすい環境を保持できる教育システムを創り、看護・介護の質向上を図り、地域の皆様に安心して利用していただき、信頼される法人を目指して努力していきたいと思います。

表1表2表3

 

 

 

 

表4

 

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