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親の介護 アルツハイマーの母から学んだこと その五

親の介護 アルツハイマーの母から学んだこと その五

心身ともに疲弊する家族 在宅介護での限界

病院で母の入院も可能であると言われたことを、その夜、妻に告げました。妻は最終的には実の息子である私の判断としながらも入院には賛成でした。要介護認定を受け、ヘルパーさんの支援も受けていましたが、それでも家族は心身ともに疲弊し限界を感じていました。特に妻の精神状態は自らの死を意識するところまできていました。さらには失火など物理的な危険も懸念されるようになりました。

相談

なかなか入院できない当時の状況

勉強不足の私は十数年前の当時、高齢者の入る施設の状況を全く知りませんでした。母が入院してから知ったことですが、高齢者の介護施設、特に認知症の人の面倒をみてくれるところは少なく、困っていても簡単には受け入れてもらえない状態だったようです。施設不足で、順番待ちは当たり前、一、二年待ちと言われた人も多くいたようです。また今のようなインターネットによる検索もほとんどなく施設の選択は、主に耳から聞く評判がたよりでした。母の場合、妻が必死で様々なところに相談し認知症の専門医を見つけることができました。通院の経緯があったのでこちらの希望で比較的早く入院できました。現在では施設不足の問題はかなり改善されてきているようですが、それでも地域差があったり経済的な問題もあったり様々な理由で入院、入所をしたくてもても入れない人もいるようです。

24時間365日の緊張

一方で「施設に入れるのは可愛そうだ、できる限りは家で看たい」という人もいます。私の感覚もそれに近いものがありました。母が認知症になる以前は「育ててくれた親だからできる限り自分で世話したい」という思いはありました。しかし現実は高齢者、特に認知症の人の介護は想像をこえ、24時間365日絶え間ない緊張の連続で心休まる時はなく家族は疲れます。まだ快方の見込みがある病なら希望が持てたかもしれませんが悪化するのみで絶望感がつのるばかりでした。それでも「人として…」と表面的な倫理観を振りかざし自分自身を切りつける日々でした。もっといろいろな人の言葉に耳を傾けていたなら、また違った気持ちでいられたかもしれません。
さまざまな思いが縷々駆け巡る中、私を目覚めさせてくれたのが医師の言葉でした。

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