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【介護】ある介護士の手記(平成24年12月号掲載)

30ある介護士の手記
グループホームに勤めるある介護士が寄せた手記です。
※ここに書かれている1日の流れなどは、施設によって異なります。

■グループホームでの暮らし
現在、私はグループホームの介護士として働いています。グループホームは正式には、認知症対応型共同生活介護といいます。 認知症高齢者が5〜9人で一つのユニット(生活単位)を構成し、家庭的で小規模な生活の場において、食事・ 入浴・ 排泄などの介護サービスを受けながら介護職員とともに生活する居住施設です。
運営は、「日常的な生活の場の創出」「日常生活の継続」に重点が置かれています。日課として、1日2回の血圧測定(起床後、午後1時頃) 、着替えと整容、午前7時30分に朝食、10時のおやつ、ラジオ体操、昼12時に昼食、午後1時〜4時まで交代で入浴、3時のおやつ、午後5時30分に夕 食、1日2回の嚥下体操(昼食前、夕食前)となっています。
この間にレクリエーションとして、ボールを使っての軽い運動や、かるたとり・ ことわさを使ったゲームのほか、唱歌・ 童謡・ 昭和歌謡を歌ったりします。またクラブ活動として、書道を行ったりもします。その上で日常生活が再現されるように、洗濯物を干す・畳む、掃除、雑巾縫い、 もやしのひげ根取りやさやえんどうのすじ取りなどの、ちょっとした仕事を手伝っていただきます。

■『介護士』という専門職
「私達は家政婦じやないのよ。介護士という専門職なのよ」この言葉は先輩職員から言われたことです。生活していく上で必要な世話をすることはもちろん重要 です。けれどそれ以上に、高齢である利用者様の健康管理をし、日常の様子を観察して記録し、今ある認識能力が少しでも失われないように介護していくのが最 も重要であるという意味の言葉です。
1日に2回行う血圧測定のほかに、常に顔色や動き方、食欲や機嫌など、普段の様子と違うところはないか気を配り、入浴時には全身状態をくまなく見て、肌の 状態にも気をつけます。そしてなにか、違う点を見つけたら、上司に報告し、指示を仰ぎます。必要ならば、看護師に来訪してもらったり、病院へ付き添うこと もあります。こうして日々の健康管理をしています。
また、これらのことは随時、記録に残し、ご家族から開示請求があれば、ご覧いただけるようになっています。認知症と聞くと、すぐ“なにも分からない人”と いうイメージを抱きがちですが、そうではありません。感情は失われず、羞恥心やプライドもあり、なにより不安を大きく感じています。介護する側として、不 安を和らげ、穏やかな心持ちで過ごしていただけるように対応します。
勤務の中で、よくぶつかる壁は、何度も同じ質問をされるということです。利用者様は初めて尋ねると思っているので、介護士側も初めてのつもりで答えます。 「さっきも言ったでしょ。何度も聞かないで」は厳禁です。話を聞く時は、笑顔で、日を合わせてゆっくりと聞きます。その時どんな言葉を利用者様にかけるか より、“私は貴方の話を聞かせてもらいたい”という気持ちが利用者様に伝わることがなによ
り大事なことです。
『塵も積もれば山となる』 といいますが、小さな積み重ねから信頼関係を築くことが、介護の場においても大切なことです。少しのことにも感謝を示し、利用者様の笑顔を引き出したいと思います。

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