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【連載もの】介護制度について考える 第4回(平成24年10月号掲載)

50両親共に介護保険の利用へ。事業所や施設の多さに迷う  愛知大学 地域政策学部 教授 西村正広氏

 

■7段階に分かれた介護度

 

脳 梗塞で救急入院してから1カ月あまり、母は平成24年11月の中旬に退院できることになりました。そして介護保険の認定も下りました。これで介護保険を使 えます。しかし無制限に介護サービスを利用できるわけではありません。介護の必要度によって認定は7段階に分かれます(「要介護5」「要介護4」「要介護 3」「要介護2」「要介護1」「要支援2」「要支援1」の7段階で、上位の段階ほど介護サービスをより多く利用できます)。母は7段階の上から6番目、 「要支援2」と認定されました。

 

ちなみに父は3年前に心臓病の手術をして日常生活に不自由があり軽度の認知症もあって、す でに「要介護1」の認定を受けています。認定は受けていてもこれまでは母が父の身の回りの世話をしていましたから介護サービスを利用することはありません でした。しかし、これからはそうはいきません。「要支援2」の母と「要介護1」の父が2人暮らしです。2人で支え合うことができれば良いけれど、うまくい かなければ共だおれです。いよいよ介護保険を利用して介護サービスを使う時が来ました。

 

 

■介護サービスの利用手続き

 

ホー ムヘルパーさん、デイサービス、訪問入浴、老人ホーム入所などのさまざまな介護サービスを利用するにはどこに行って手続きをするのでしょう。ひと昔前なら 市役所などの行政窓口に申し込んでいました。ところが介護保険がスタートしてから利用の仕組みが変わりました。今は、ヘルパー派遣やデイサービスなどを実 施している事業所や入所施設に直接申し込むのが原則です。しかし介護サービスを利用する人にとって、どこにその事業所や施設があるのか調べたり、申し込み の手続きをしたり、何曜日に何時間介護サービスを利用するのかを考えたりするのはたいへんなことです。たとえば豊橋市内でもホームヘルパーを派遣する事業 所が43カ所、デイサービスは94カ所もあります。自分に合った介護サービスをやってくれるのはどこか、利用料金はどのくらいになるのか…そんなことを考 えるだけで頭が痛くなってしまいます。

 

 

■まずはケアマネージャー選び

 

そ こで介護保険の創設時に、介護サービスの選択や利用の計画づくりや手続きなどを個々の利用者に合わせてやってくれる専門職が置かれました。それがケアマ ネージャーです。ケアマネージャーは市役所などに置かれている場合もありますが、各所にケアマネージャーを置く事業所が設けられています。豊橋市内には 73カ所もあります。

 

私も両親のために、まずはケアマネージャーを選ぶことから始めました。専門家なら誰でも良いわけでな く、経験や知識や親切さや相性などいろいろな要素を考えて選ぶことになります。お医者さんを選んだり美容院を選んだりするのと同じことです。実際のところ ケアマネージャーもピンからキリまでと言われています。

 

母の介護保険認定が下りたとき、区役所からケアマネージャーの置か れている事業所の一覧表をいただきました。ところがケアマネージャー事業所は札幌市内に400カ所以上、区内だけでも22カ所もありました。いったいどう したら良いか…迷ってしまいます。(事業所数などのデータは平成24年9月現在)

 

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西村正広氏略歴:日本福祉大学大学院修了
社会保険中京病院
ソーシャルワーカーなどを経て現職
専門:社会保障

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