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日本の介護・医療の現場  シリーズ②かかりつけ医と在宅医療

前回のシリーズ①は終末期の医療についてお話をさせていただきました。今回のシリーズ②では近い将来の日本の医療が政策と共に変わっていく姿についてお話しをさせて頂きます。これはあくまでも個人的見解です。

 

「かかりつけ医」

この呼び方は「かかりつけ医」、「総合診療医」、「主治医」、「在宅医」といった単語が併用されて似たような言葉が乱立し皆さんを混乱させていると思います。私はこれらを「かかりつけ医」という言葉に統一してお話をすすめます。

最近、皆さんから「病院を追い出された」という話しをよく耳にいたします。これは日本の医療費(税金)が破たんしている事に端を発します。総合病院・市民病院などの急な病気を扱う大病院のベッドを減らし、なおかつ病院に居られる日数も短くすると言う国の政策の結果です。要は医療費の削減のために入院期間を減らす事になるわけです。入院には医療費(国民の税金)が使われています。診療所から大病院に紹介した患者さんが、「病気の治療は終えたので紹介された診療所にかかりつけの患者さんを戻し、在宅療養をよろしく」と大病院から逆紹介状されるわけです。すなわち患者さんが早期にお家に戻って来る時代になります。病気によっては完全に治癒して社会復帰できるような若い患者さんは問題ありませんが高齢になってからの脳血管の障害、骨折などの運動機能低下、それに伴う認知症の出現などは色々な機能の低下を来たし、さらに進行するという現実があります。「かかりつけ医」である診療所の先生は、いままでのように外来患者を診療所で待っている時代ではなく、大病院(急性期)病院から自宅に戻って来た、かかりつけ患者さんを訪問診療(昔の往診)していくことになるようです。これが今後の医療改革に伴う「内科診療所の変化」です。

 

「在宅医療」

自宅に戻ってきた患者さんは治療が終わって安定状態にまで回復しているが、半身まひとか言葉が出ないとか、認知症が悪化したとかの障害を持つ状態がほとんどです。家での看護介護は家族には専門的知識もありませんし、また元気なご家族は働きに出ている事が多いため到底付きっきりで面倒を看る事はできません。そんな現状から訪問看護、訪問介護、または訪問リハビリ、訪問入浴などのサービスを提供されています。それらは要介護認定の程度(1~5)・・介護保険費用によってまかなわれる(税金)・・によってケアーマネージャー(介護支援専門員ともいう)が必要に応じて家族と相談に上、プランを作るという複雑な仕組みがあります。ご本人はもちろんの事ご家族もこれを十分に理解されている方は多くはないと考えられます。介護が出来る時間のある方々の多くは永く寄り添ってきた奥様や退職されたご主人で、これを「老々介護」と言いますが、これは残された短い人生には辛い事です。金銭的には介護保険を使う事で自己負担は少なくなりますが現状のシステムは完全とは言えません。このプランを元に在宅で介護を行う訳ですが、介護サービスだけで患者さんの生活のすべてがまかない切れるわけではありません。それは「老々介護」になることが多く、そのご苦労は計り知れないものがあります。戦後生まれの「団塊の世代」の方々がこの日本の経済を発展させてきましたが、75歳に到達するころには人口3人に一人が65歳以上の老人という事になります。また日本の人口は毎年約20万人の減少、経済の活性化を保つための若い人たちが働く場が企業、製造業だとすれば、経済効果を生まない医療福祉にどれだけの資金と若い力が投入されるのか問題は沢山あります。税金の無駄使いとならない日本の住宅事情や、習慣文化に合わせた老人介護の仕組みが必要と思います。この点は次回のシリーズ③でお話ししたいと思います。

 

加藤 仁 氏 
生年月日:S22年(1947)3月3日
ユニオン・ホールディングス株式会社・代表取締役・社長
特定医療法人・共和会・最高顧問
社団医療法人・大仲会・理事長
愛知県医療法人協会・参事

 

WEBワライフ日本の介護・医療の現場シリーズ①「日本の終末期医療」

WEBワライフ日本の介護・医療の現場シリーズ③日本の障がい福祉サービス

WEBワライフ日本の介護・医療の現場シリーズ④成年後見制度

WEBワライフ日本の介護・医療の現場シリーズ⑤これからの高齢者支援

WEBワライフ日本の介護・医療の現場シリーズ⑥これからの高齢者の住まい

 

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