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社会福祉法人 聖隷福祉事業団 保健事業部 健康コラム第3回 女性の病気について、予防・早期発見

女性ホルモンの変化と女性の病気

エストロゲン(女性ホルモン)の変動により身体や心にも変化

 女性特有の病気は、女性ホルモン(エストロゲン)の影響を強く受けることが多く、エストロゲンの変動により身体や心にも変化が起こります。そのため、年齢によって注意したい症状や病気も異なってきます(下図参照)。

 また、エストロゲンは、子宮など以外にも、全身の様々な部位に作用しています。そのため、加齢によりエストロゲンが欠乏すると、性器の萎縮による腟炎や性交障害のほかに、物忘れやうつなどの精神神経症状、動脈硬化や脳卒中などの心・血管疾患、脂質代謝異常、骨量減少による骨折、さらに排尿障害など、様々な症状や障害が起こるリスクにさらされてしまいます。

女性の平均寿命は86.61歳、健康寿命は74.21歳

 女性の平均寿命は、戦後急速に30年以上延伸して現在86.61歳となっていますが、肝心の健康寿命は74.21歳でその差は12.4歳です(2013年、厚労省)。平均寿命は長くなっても、閉経年齢は平均50.5歳と変わらぬままであることも、平均寿命と健康寿命の差を生み出す要因の一つとも考えられます。

 

70歳以上の2人に1人が骨粗鬆症

 健康寿命を延ばすためには、第1回、第2回のコラムにもありましたように、がんや脳卒中の予防を心掛けることが大事ですが、加えて、女性には、骨粗鬆症の予防も大切です。

女性が要介護となった原因のうち「骨折・転倒」は男性の3倍

 要介護となった主な原因を調べると、女性の場合、「脳卒中」「認知症」「高齢による衰弱」の次が「骨折・転倒」(男性の3倍)です。骨粗鬆症有病率は、50歳代から徐々に上昇し、60歳代の約3割、80歳代では約5割と加齢とともに、有病率が増加しています。

骨粗鬆症の治療率は、高血圧や脂質代謝異常などに比べ、かなり低い

 しかしながら、骨粗鬆症の治療率は、高血圧や脂質代謝異常などの疾患に比べ、かなり低いのが現状です。骨密度が低いだけでは何も症状もありませんから気づかれにくく、診断が確定して治療をお勧めしても治療を拒まれたり、治療を始めても中断してしまうケースが多い病気です。しかし、一旦骨折をしてしまうと、骨折により運動が制限されることで生活習慣病の進行を早めてしまったり、生活習慣病により骨折リスクが増加して骨粗鬆症化をさらに進行させてしまうなど、負のスパイラルが形成されてしまいます。

 また骨量が減少していくと、カルシウムやリンの血中濃度が上昇し、動脈硬化にもつながります。骨粗鬆症の治療をすることで、心血管系の病気の頻度が下がるというデータもありますから、閉経前後から定期的に骨粗鬆症検診を受け、必要な場合は早めに治療を開始することをお勧めします。

 

 

 

女性のがん・・・乳がんは12人に1人

 女性特有のがんは、40~50歳代以降に多くみられますが、20歳代から注意が必要なものもあります。

子宮頚がん―定期的な検診により、早期発見に努めることが重要

 子宮頸がんは、20~30代の女性が発症するすべてのがんの中で最も多い病気です。HPV(ヒトパピローマウイルス)という性交渉で感染するウイルスが原因であることが解明されています。子宮頸がんは、がんになるまで長い時間が掛かるため、早く発見できれば、がんになる前に治療することができます。初期にはほとんど自覚症状がありませんので、定期的な検診により、早期発見に努めることが重要です。

乳がん―月1回のセルフチェックと、マンモグラフィなど画像診断を含む定期的検診を

 乳がんは、乳房にある乳腺に発生する悪性腫瘍で、患者数は近年急増しており、約12人に1人が乳がんに罹る時代となりました。乳がんの症状はさまざまで、しこり、血性乳頭分泌、乳首の陥没、皮膚のくぼみ、脇の下のしこりなどがあり、自分で発見できる場合もありますので、月1回のセルフチェックはかかせません。乳がんは、マンモグラフィなど画像診断を含む検診を定期的に受診することで早期発見に努めましょう。

 

 

 

婦人科のかかりつけ医をみつけましょう

 女性の病気には自覚症状が現れにくいものもあり、早期発見には定期的な検診が必要です。また、女性ホルモンの変化により、年齢によって注意したい症状や病気も異なってきます。女性ホルモンによる体や心の変化を知り、上手にセルフケアをしましょう。そして、ちょっとした症状でもすぐに相談できる婦人科のかかりつけ医がいればより安心です。

 

 

 

社会福祉法人 聖隷福祉事業団

聖隷健康サポートセンターShizuoka

所長 鈴木 美香 氏

 

 

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