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子宮筋腫 種類と治療

 

 

子宮筋腫の種類

子宮筋腫は、子宮の平滑筋から発生しエストロゲンと言われている女性ホルモンによって成長する良性腫瘍です。ですから悪性腫瘍である、癌や肉腫とは異なります。しかし良性である子宮筋腫であっても、その出来る部位や、大きさによっては深刻な症状が発生します。
子宮筋腫の出来る部位によって種類が決められます。図1にその種類を示します。

図1

 

1.筋層内筋腫

子宮の筋層のなかで発育した筋腫で、あまり大きくなりすぎると子宮内膜が薄くなりうっ血、壊死、潰瘍形成などが生じます。

2.漿膜下筋腫

子宮の外側に向かって発育した筋腫で、比較的無症状の場合が多いです。

3.粘膜下筋腫

子宮の内側(内膜)に向かって発育した筋腫で、子宮内膜が薄くなりひどい場合は潰瘍ができることがあります。このため月経時の出血量が増えたり、不正出血よって著しい貧血になります。

4.筋腫分娩

粘膜下筋腫が伸びて、腟のなかにまで下がってきた筋腫です。不正出血が多く痛みが伴うことが多いです。

 

子宮筋腫の画像診断

超音波検査:子宮筋腫の画像診断としては最も使用されている装置です。プローブをお腹にあてて超音波の反射によって画像化するものです。ただしお腹の中で超音波が届く範囲はあまり深くなく、後屈した子宮では診断が困難であったり、後壁に出来た筋腫については見えないこともあります。
CT:X線を使用した断層像を得る装置です。ただし子宮と子宮筋腫は透過が一緒のために両者を判別することは出来ません。筋腫の診断には用いられることのない装置です。
MRI:磁場を使って体の組成を画像化します。特に軟部組織の画像化には適していて、子宮筋腫の発生部位、大きさなどを正確に診断でき、最も適した診断装置です。図2の両サイドの画像がMRI画像で、矢印で示した部分が漿膜下子宮筋腫です。大きさが1.5年後で一回り大きくなっていることが良くわかります。                 図2


PET:子宮筋腫の診断に用いられることのない装置です。ところが子宮筋腫が今後も大きくなる場合は、FDGを使用したPETで良く解ります。図2の矢印で示した、筋腫にはFDGの集積が見られ、1年半後には一回り以上大きくなっています。これは筋腫が盛んに細胞分裂して大きくなろうとしているのでブドウ糖と同じであるFDGが集積します。

 

子宮筋腫の治療

子宮筋腫の治療には手術、ホルモン療法、塞栓術などがあります。
この内、手術は、開腹して取り出す場合と、内視鏡で子宮筋腫を切り取る方法などがあり、筋腫の大きさ、部位、症状、年齢などにより選択します。
ホルモン療法は卵巣機能を抑えて血中エストロゲンを下げ、擬似的に閉経後の状態にするホルモン治療です。この薬物療法は4〜6カ月間行いますが、この間に無月経になるので、筋腫は縮小し手術操作が安全かつ容易になります。ただし、この治療は更年期障害のような症状や骨量の減少などの副作用を引き起こすので、繰り返し長期に使うことはできません。あくまでも手術を前提とした治療です。
塞栓術は子宮筋腫に栄養を送っている血管をつめて、子宮筋腫を消滅させます。この方法はおなかを切ることもなく、筋腫だけを選択的に消滅さる、身体に優しい治療です。

症例一
最初の症例は40代の方です。図3が骨盤のMRI画像で、左側が矢条断、右側が横断面です。緑の矢印で囲った部位が子宮で、中心の白い線状部分が内膜にあたります。水色の矢印で示した部分が漿膜下筋腫で、黄色矢印で示したのが筋層内筋腫です。この方は生理不順と不正出血に悩まされていて、あまりの大量出血のために貧血状態でした。その原因が赤矢印で示す粘膜下筋腫です。この筋腫は子宮の内膜に突出していて、出血の原因となっています。                                                                図3


図4のPET画像では、この筋腫に一致する部位に淡い集積を認め、この筋腫がさらに成長することを示しています。

図4


この方は治療の方法として、塞栓術を選択しました。その結果、図5で示すとおり子宮は保たれたまま、子宮筋腫のみが消失しています。当然のことながら、長年苦しんできた腹痛と出血からは開放され、貧血もなくなりました。

図5

症例二
子宮筋腫は閉経後には徐々に縮小していくといわれています。これは子宮筋腫の成長を促すのが、女性ホルモンであるエストロゲンやプロゲストロンだからです。閉経後にはこれらの女性ホルモンが出なくなり筋腫は小さくなります。

図6


しかし全ての筋腫がこの様な経過をたどるとは限りません。図6に示す方は、最初の健診をお受けになったのは、60歳の時で図6の上段MRIでは65×49㎜で、10年後には76×62㎜と大きくなっています。下段はPET画像でFDGの集積を示すSUVmaxは60歳で2.15、70歳で3.80と亢進しています。これはこの筋腫がまだまだ大きくなることを示していて、女性ホルモンの影響を受けていない筋腫であることがわかります。

 

まとめ

子宮筋腫は良性の腫瘍ですが、時によって女性を悩ますひどい症状を起こす腫瘍になります。その診断にはPET装置が使われることはありませんが、PET検査でなければ解らないことがあります。それはその筋腫が活発に成長を続ける筋腫であるか、もしくは今後は成長しない筋腫であるかの判断が出来、治療の選択がより確実に出来ます。
また、その治療も手術だけでなく、塞栓術という身体に負担の少ない治療が保険適応となっていて、よりやさしい治療が可能となっています。

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