外見上はわからない場合でも、障害によって困っている人がいます!⑤「トラブル時の対応」編


 「外見上はわからない場合でも、障害によって困っている人がいます!⑤」は「トラブル時の対応」編を、今回も国土交通省の「発達障害、知的障害、精神障害のある方とのコミュニケーションハンドブック」から「パニック時の応対と緊急時・異常時の応対」についてお伝えします。

 

トラブル時の対応~ルールを理解していない~

利用のルールがよくわからず、店内をうろついたり、 列に並ばないことがあります

普段からの心構え

トラブル時は、本人が一番驚いてい ます。まず落ち着いた応対をするこ とが重要です。

 

ポイント「状況に応じてルールを理解できるように伝えます」

  • ●ルールがわからず困っているので、「ここでは、皆さんに~のようにしていただいております」など簡潔にルールを伝えます。
  • ●混雑していて並び方がわからないときは「列の後ろにお並びください」などと声をかけます。
  • ●店内をウロウロしている場合は、「用件を伺います」「商品をお買い上げですか?」などと具体的に話しかけます。
  • ●勝手に商品を並べ替えるなどの行動をとっているときには、「○○してはいけません」という行為を禁止する言葉ではなく、「並べ替えは終わりにしましょう」「○○は終わります」などと声をかけます。(※「外見上はわからない場合でも、障害によって困っている人がいます!④コミュニケーションツール編」の「声かけ変換表」の項をご参照ください。)

 

【応対事例1】乗務員と顔見知りになると、福祉パスを提示してくれない

 乗務員がいつもの「顔見知り」だとわかると、福祉パスを提示してくれない方がいます。「毎回提示し てください」と説明しましたが、わかっていただけ ませんでした。しかし、マイクなどではなく、小さな声で「パスをお願いします」と言うようにしたら、 見せてくれるようになりました。

※福祉パスは見られたくないという気持ちがあります。一般の 定期券と同じような 感覚で確認するなど の配慮が必要です。

 

【応対事例2】レジなどでの並び方 

 一列で順番待ちをして、空いたレジなどから順番に利用できる並び方があります。レジ の他にも、公衆トイレや銀行のATМなどを待つときに、このような並び方を見ること があります。このような方法は、様々な人に対して利用しやすい並び方です。

 

 

こんな事で困っています

ルールがわからず周囲の人を困らせてしまう

  • ●レジでの支払いなどの際に、列に並ばなかったり、並び順が一列なのか、並列なのかがわかりづらく戸惑う人もいます。
  • ●整理券を取って待つなどの仕組みが理解できず、番号を呼ばれても聞き取れなかったり、意味がわからない人もいます。
  • ●ラベルがそろっていないことや、間が空いていることが気になったり、以前に来たときと少しでも違うと不安になって、安心したいために勝手に商品を並び替えてしまうことがあります。
  • ●商品を破損したり、試食コーナーなどでその場に立ち続けたりして困らせることがあります。
  • ●支払いをする必要があることが理解できず、商品を持ち帰ってしまうことがあります。
  • ●降りるところでなくても、バスの停車ボタンを毎回押してしまうことがあります。
  • ●他の人と違う行動をしている時、自分の行動の理由や自分の思いをうまく人に伝えられない人がいます。
  • ●禁止したり、怒ったりせずに、ポジティブな言葉で応対します。

 

 

 

トラブル時の応対~周囲の人に迷惑をかける~

大声を出したり、独り言を言ったり、走り回ったりして 周りの人に迷惑をかけることがあります

ポイント「最初にやさしい口調で話しかけ、落ち着いたら、 やさしい言葉で注意します」

  • ●「どうしましたか?」とやさしく、ていねいに話しかけて落ち着かせます。
  • ●注意するときは、「走ってはいけません」というような否定的な言葉をつかわず、「歩きましょう」「小さな声で話しましょう」という肯定的な言葉でやさしく注意します。
  • ●レストランなどで事前に申し出があれば、落ち着ける席へ案内します。
  • ●場合によっては、別室に案内します。どうしても応対が困難な場合は、保護者等へ連絡します。

 

【応対事例1】ラッシュ時にホームを走り回り危険だった

 朝のラッシュ時にホームを走り回っていた方がい て、周囲のお客様の迷惑となっていました。威圧感 からパニックになってしまうことが危惧されたた め、複数の係員で見守った上で、1人の係員がやさ しく声をかけると、走るのをやめました。

※走っていると安心す る人もいます。「危 険なのでここにいま しょう」などと落ち 着かせましょう。

 

【応対事例2】電車やバスの車内で、お客様や持ち物に触れたがる

 バスの車内で、お客様や持ち物(メガネ、アクセサ リーなど)に触れたがる方がいて、周囲のお客様が 怖がっていました。声かけをして、やってはいけな いことをゆっくりと説明しました。笑顔でやさしく、 安心できるように「相手の方が嫌なことですよ」と 声をかけ、落ち着いて応対したところ、迷惑行為を やめました。

※やさしく、落ち着い て応対することで、 理解を促すことが重 要です。

 

【応対事例3】レストランの中で大声を出し、周囲のお客様の迷惑となった

 レストラン内で大きな声を出していた方がいたた め、障害のある方とその付き添い者にはわからない よう、隣のお客様にそっとメモを見せて、席の移動 の希望を伺い、席の移動の要望にお応えしました。

※場の空気を乱さ ないよう、配慮することが重要 です。

 

【応対事例4】フラフラとしていたので心配で声をかけた

 思いつめていてフラフラとしたり、ぼんやりとし たり、つらそうにしていたりするところを見かけ たときには、自殺を考えているかも知れません。 優しい声かけで思いとどまるケースもあります。

 

 

自分のこだわりを押し通そうとして、 周囲の人とトラブルになることがあります

ポイント「両者の間に入り、周囲の人に簡潔に状況を説明し、 障害のある人に状況が理解できるよう説明します」

  • ●自分の行動の理由や思い をうまく伝えられない場合があるので、根気よく 話を聞きます。
  • ●周囲の人にも、障害のある人の行動について理解 が得られるように説明します。
  • ●いけないことをしている 場合は、「あなたのもの ではありません」などハッキリと言います。
  • ●可能であれば、2人以上 で応対します。

 

【応対事例】自分が座りたい席が空いておらず、その席を蹴っていた

 気に入っている席が空いて いなかったため、その座席 を蹴りだした方がいました。 着席されていたお客様が怖 がっていたので車内放送で 注意しましたが、やめてく れなかったため、一度車を 止めて、やさしく声かけを して、ほかの席に着席する よう誘導しました。

※「空いている席に座りま しょう」とやさしく応対することが重要です。

 

こんな場合があります

  • ○他の客が注文した料理に手を出そうとして周囲の人を驚かせることがあります。
  • ○自分の気に入った席に座りたがり、既に座っている人に迷惑をかけることがあります。

 

 

  • ○正義感の強さからストレートな表現で注意をしてしまい、周囲の人の反感を買ってトラブルになることがあります。

 

 

 

トラブル時の応対~自分を傷つける~

頭をぶつけたり、壁をたたいたりして、 自分自身を傷つけたりして危険なことがあります

ポイント「ゆっくりと近づき、やさしく声をかけて落ち着かせ、 ケガをしないよう応対します」

  • ●「大丈夫ですよ」と声をかけ、「危険なのでそちらに座りましょう」と具体的な言葉で誘導しま す。
  • ●やさしい表情で、ゆっくりと声をかけましょう。
  • ●注意するときは、「○○してはいけません」というような否定的な言葉をつかわず、「そこで話しましょう」「そこに座りましょう」などの具体的で肯定的な言葉でやさしく誘導します。
  • ●場合によっては、別室に案内します。どうしても応対が困難な場合は、保護者等へ連絡します。

 

【応対事例】車内の壁を突然叩き出し、ケガをする事態となった

 バス車内で、壁を突然叩き出し、 ご本人はケガをしてしまう事態 が起きました。車を止めてその 方にゆっくりと近づき、「どうし ましたか?」と声をかけたとこ ろ、「扉が閉まる時のピーという音が気になった」ということだっ たので、「では、音があまり聞こ えない一番後ろの席に座りま しょう」と誘導して落ち着かせ、 「もう壁を叩くのは終わりにしま しょう」と声をかけました。

※別の場所に誘導して、 落ち着いていただく ことが重要です。

 

 「外見上はわからない場合でも、障害によって困っている人がいます!」は今回でひと区切りとなります。人の集まるところなどではさまざまな場面に遭遇します。日常とは違うことが実際に起こったときには、事前に知識として持っていると少しは役立てていただけると思います。

 

出典

国土交通省「発達障害、知的障害、精神障害のある方とのコミュニケーションハンドブック」

 

 

 

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