発達障害とは?~発達障害の基礎知識~②


 「発達障害とは?~発達障害の基礎知識~①」に続き、主な発達障害について、今回も「政府広報オンライン 発達障害って、なんだろう?」をもとにお伝えします。

 

「気づき」「適切なサポート」、発達障害に対する理解が必要

 発達障害は、広汎性発達障害(自閉症など)、学習障害、注意欠陥多動性障害など、脳機能の発達に関係する障害です。発達障害のある人は、他人との関係づくりやコミュニケーションなどがとても苦手ですが、優れた能力が発揮されている場合もあり、周りから見てアンバランスな様子が理解されにくい障害です。発達障害の人たちが個々の能力を伸ばし、社会の中で自立していくためには、子どものうちからの「気づき」「適切なサポート」、そして、発達障害に対する私たち一人一人の理解が必要です。

それぞれの障害の特性

 

理解する~主な発達障害~

広汎性発達障害

 コミュニケーション能力や社会性に関連する脳の領域に関係する発達障害の総称です。自閉症、アスペルガー症候群のほか、レット症候群、小児期崩壊性障害、特定不能の広汎性発達障害を含みます。

自閉症

 自閉症は、「言葉の発達の遅れ」「コミュニケーションの障害」「対人関係・社会性の障害」「パターン化した行動、こだわり」などの特徴をもつ障害です。最近では、自閉症スペクトラム(※下記の「用語解説」をご参照ください)と呼ばれることもあります。

Aちゃんの例 急に予定が変わったり、初めての場所に行ったりすると不安になり、動けなくなる

 自閉症のAちゃんは、急に予定が変わったり、初めての場所に行ったりすると不安になり、動けなくなることがよくあります。そんなとき、周りの人が促すと、余計に不安が高まって突然大きな声を出してしまうことがあります。周りの人から、「どうしてそんなに不安になるのか分からないので、何をしてあげたらよいか分からない」と言われてしまいます。でも、よく知っている場所では、一生懸命、活動に取り組むことができます。

WEBワライフ「自閉症 障がい福祉の基礎知識④」

 

アスペルガー症候群

 アスペルガー症候群は広い意味での「自閉症」に含まれる一つのタイプで、「コミュニケーションの障害」「対人関係・社会性の障害」「パターン化した行動、興味・関心のかたより」があります。自閉症のように、幼児期に言葉の発達の遅れがないため、障害があることが分かりにくいのですが、成長とともに不器用さがはっきりすることが特徴です。

Bくんの例 「相手の気持ちが分からない自分勝手でわがままな子」と言われ……でも

 友だちと話しているときに、自分のことばかり話してしまって、相手の人にはっきりと「もう終わりにしてください」と言われないと、止まらないことがよくあります。周りの人から「相手の気持ちが分からない自分勝手でわがままな子」と言われてしまいます。でも、大好きな電車のことになると専門家顔負けの知識をもっていて、友だちに感心されます。

 

注意欠陥多動性障害(AD/HD)

 注意欠陥多動性障害(AD/HD:Attention-Deficit/Hyperactivity Disorder)は、「集中できない(不注意)」「じっとしていられない(多動・多弁)」「考えるよりも先に動く(衝動的な行動)」などを特徴する発達障害です。

Cさんの例  大事な仕事の予定を忘れたり、大切な書類を置き忘れたり……でも

 AD/HDのCさんは大事な仕事の予定を忘れたり、大切な書類を置き忘れたりすることがよくあります。周囲の人にはあきれられ、「何回言っても忘れてしまう人」と言われてしまいます。でも、気配り名人で、困っている人がいればだれよりも早く気づいて手助けすることができます。

WEBワライフ「注意欠陥多動性障害(ADHD) 障がい福祉の基礎知識②」

 

学習障害(LD)

 学習障害(LD:Learning DisordersまたはLearning Disabilities)とは、全般的な知的発達に遅れはないのに、聞く、話す、読む、書く、計算する、推論するなどの特定の能力を学んだり、行ったりすることに著しい困難を示すさまざまな状態をいいます。

Dさんの例 メモをとることが苦手……でも

 会議で大事なことを忘れまいとメモをとりますが、本当はメモをとることが苦手なので、書くことに必死になりすぎて、会議の内容が分からなくなることがあります。後で、会議の内容を周りの人に聞くので、「もっと要領よくメモをとればいいのに」と言われてしまいます。でも、苦手なことを少しでも楽にできるように、ボイスレコーダーを使いこなしたりと、ほかの方法を取り入れる工夫をすることができます。

 

WEBワライフ「学習障害(LD) 障がい福祉の基礎知識③」

 

トゥレット症候群

 トゥレット症候群(TS:Tourette’s Syndrome)は、多種類の運動チック(突然に起こる素早い運動の繰り返し)と1つ以上の音声チック(運動チックと同様の特徴を持つ発声)が1年以上にわたり続く重症なチック障害で、このような運動や発声を、本人はそうするつもりがないのに行ってしまうのが特徴です。

Eさんの例 「落ち着きがなく迷惑なクラスメート」と言われ

 Eさんは授業中、自分の意思に反して突然大きな声をあげたり、首を何度も振る動作をしてしまいます。そのため学校の友達には「落ち着きがなく迷惑なクラスメート」と言われてしまいます。こういった症状が出てしまうことが、障害によるものであることを、みんなに理解してもらいたいと思っています。

 

 

吃音(症)

 吃音(Stuttering)とは、音の繰り返し、ひき伸ばし、言葉を出せずに間があいてしまうなど、一般に「どもる」と言われる話し方の障害です。幼児・児童期に出始めるタイプ(発達性吃音)がほとんどで、大半は自然に症状が消失したり軽くなったりします。しかし、青年・成人期まで持続したり、青年期から目立つようになる人や、自分の名前が言えなかったり、電話で話せなくて悩む人もいます。

Fくんの例 障害によるものであることを、みんなに理解してもらえるといいな

 Fくんは会話をしていると、「きききききのう・・・」と単語の一部を何度も繰り返したり、つっかえてすぐに返事ができないことがあるので、友人から笑われます。「ゆっくり話しなさい」と言われて、そうしようとするとますます話せなくなります。これが障害によるものであることを、みんなに理解してもらえるといいなとは思いますが、恥ずかしいので言えません。

 

 

早い時期からの理解と能力を伸ばすため必要な支援や環境の調整が大切

 ここに示したのはあくまで一例であって、どんな能力に障害があるか、どの程度なのかは人によって様々です。子どもにも大人にもこれらの特徴をもつ人がいます。

発達障害の特徴をもつ人は稀な存在ではなく、身近にいる

 発達障害は障害の困難さも目立ちますが、優れた能力が発揮されている場合もあり、周りから見てアンバランスな様子が理解されにくい障害です。そのため、上記の例で紹介したような印象をもた れていることが多くあります。近年の調査では、発達障害の特徴をもつ人は稀な存在ではなく、身近にいることがわかってきました。

 発達障害の原因はまだよくわかっていませんが、現在では 脳機能の障害と考えられていて、小さい頃からその症状が 現れています。

必要な支援や環境の調整が行われることが大切

 早い時期から周囲の理解が得られ、能力を伸ばすため の療育(※下記「用語解説」をご参照ください)等の必要な支援や環境の調整が行われることが大切です。

 

用語解説

二次障害

 発達障害に対して適切な対応がされず、周囲の無理解や不適切な関わりが続くことで、発達障害とは別の二次的な症状があらわれます。

二次障害の例

外在化障害

  • 極端な反抗、暴力、家出、反社会的犯罪行為など
  • 行動上の問題として、他者に向けて表現する

   反抗挑戦性障害、行為障害など

内在化障害

  • 不安、気分の落ち込み、強迫症状、対人恐怖、引きこもりなど
  • 情緒的問題として、自己の内的な苦痛を生じる

   分離不安障害、社会不安障害、気分障害、強迫性障害など

  (出典:齋藤万比古編「発達障害が引き起こす二次障害へのケアとサポート」学習研究社2009)

 

自閉症スペクトラム

 自閉症スペクトラムとは、「広汎性発達障害」とほぼ同じ概念を指すものであり、自閉症やアスペルガー症候群、特定不能の広汎性発達障害などを含む疾患概念です。自閉症やアスペルガー症候群などには互いの境界線を引くのは極めて厳しいこともあり、病気の一連の続きとして「スペクトラム」として捉えられています。

 

療育 

 医療や訓練、教育、福祉などを通じて、障害があっても社会に適応し自立できるように育成することです。

 

 

WEBワライフ「発達障害とは?~発達障害の基礎知識~①」

WEBワライフ「発達障害とは?~発達障害の基礎知識~③」

WEBワライフ「発達障害とは?~発達障害の基礎知識~④」

 

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