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発達障害とは?~発達障害の基礎知識~④

 「発達障害とは?~発達障害の基礎知識~③」では、「発達障害」に気づくためのポイント、また配慮することををご紹介しました。今回も「政府広報オンライン 発達障害って、なんだろう?」などをもとに、相談窓口などをお伝えします。

 

相談する~適切な教育につなげるために~

 発達障害がある場合、早めに障害に気づき、適切な療育につなぐことで、社会に適応する能力を身につけ、さまざまな能力を伸ばしていくことができます。もし、「うちの子は発達障害なのだろうか」など、気になることがあるときは、お住まいの市町村の窓口や「発達障害者支援センター」にご相談ください。発達障害者支援センターでは、発達障害者の日常生活についての相談支援などを行っているほか、医療、保健、福祉、教育、労働等の各関係機関と連携を図りながら、障害の特性とライフステージに合わせた支援を提供しています。

 そのほか、「発達障害情報・支援センター」「発達障害教育情報センター」でも、発達障害のある人やその家族、支援者のための、さまざまな情報を提供しています。

 

発達障害者支援センター

 発達障害がある子ども(人)への支援を総合的に行うことを目的とした専門的機関です。都道府県・指定都市(または、都道府県知事等が指定した社会福祉法人、特定非営利活動法人など)が運営しています。発達障害のある子ども(人)とその家族が豊かな地域生活を送れるように、保健、医療、福祉、教育、労働などの関係機関と連携し、地域における総合的な支援ネットワークを構築しながら、さまざまな相談に応じています。

全国の発達障害者支援センター

 

発達障害情報・支援センター

 発達障害情報・支援センターは、発達障害に関する調査・研究、国内外の研究成果等の情報収集・分析、本人や家族、全国の発達障害者の支援機関及び一般国民に対して、発達障害に関する正確で信頼できる情報を発信・啓発を行う機関です。また、国立特別支援教育総合研究所・発達障害教育情報センターと情報共有・情報交換することで、各ライフステージに対応した情報を提供しています。

発達障害情報・支援センター

 

発達障害教育情報センター

 発達障害教育情報センターは、発達障害にかかわる教員および保護者をはじめとする関係者への支援を図り、広く国民の理解を得るために情報提供や理解啓発、調査研究活動を行う機関です。発達障害のある子どもの特性に応じた、教育的支援に関する研究や、文献、研究会など、発達障害に関する教育についてさまざまな情報を提供しています。

発達障害教育情報センター

 

早く気づいて、早く専門機関と連携することが大切

 「発達障害とは?~発達障害の基礎知識~」では、主に「子どもの発達障害」について取り上げてきました。

 不登校、ひきこもり、いじめなど、子どもたちにかかわる深刻な問題がいくつもあります。それらのもとには発達障害があるケースもあります。自閉症、注意欠陥多動性障害(AD/HD)、アスペルガー症候群、学習障害など発達障害についての認識がまだまだ多くの人たちにひろがっていなかったころには、「親のしつけや教育」や「本人の甘え、怠け」などと言われ、誤解や偏見により、当事者や身内の人たちは悩んだり、苦しんだりし、二次障害をおこすこともありました。今でもなくなったわけではありませんが、平成16年発達障害者支援法が成立し、発達障害者に対する学校教育も改善されるなどして、「発達障害」についての認識も変わってきています。

 一方でまだわが子を発達障害であることを認めたがらない親がいることも事実です。精神科、心療内科という分野にかかわることへの躊躇、抵抗感などを持っている人もいます。しかし早く適切な対応をすることが本人にとって、また周りの人たちにとっても大切です。

 以下、文部科学省の「発達障害の 理解のために 」より、ご紹介します。

早い時期から、能力を伸ばすための療育等の支援や環境の調整を

『発達障害は障害の困難さも目立ちますが、優れた能力が発揮されている場合もあり、周りから見てアンバランスな様子が理解されにくい障害です。……

 近年の調査では、発達障害の特徴をもつ人は稀な存在ではなく、身近にいることがわかってきました。 発達障害の原因はまだよくわかっていませんが、現在では 脳機能の障害と考えられていて、小さい頃からその症状が 現れています。

 早い時期から周囲の理解が得られ、能力を伸ばすための療育等の必要な支援や環境の調整が行われることが大 切です。

 

 

大人にもある発達障害

 発達障害は子どもばかりではありません。成人してからわかる「大人の発達障害」(※1下記「用語解説」をご参照ください)も最近、マスコミなどでよく取り上げられています。

 子どものころ発達障害と診断され、療育など適切な支援によって、また本人の成長過程での人間関係を形成する訓練などによって、多くの人が障害による困難さを軽減し、働いたり、結婚して家庭をもったりしています。

 しかし学校生活では表面化せず、大人になり、就職、結婚などしてから「問題」がおこり、発達障害がわかることもあります。

 発達障害とは?~発達障害の基礎知識~②」でご紹介しましたが、発達障害をもった人が大人になり就職してから「忘れ物」や「書類管理」などのミスで、指摘を受けることがあります。それを繰り返すうちに人間関係に悩み、やがて抑うつ状態になるなどの精神的な二次障害をおこし、心療内科を受診し「発達障害」であることががわかるケースもあります。

 また結婚してから配偶者の「問題」に気づき、その「問題」が発達障害によるものだとわかる場合もあります。交際中は「ちょっと変」とか「この人の個性」と思っていたことが一緒に暮らすようになり、それまであまり気にとめていなかったことが、深刻化することもあります。「話しが噛み合わない」「金銭管理ができない」などの問題が発生し、相手に改善を求めても一向に改善されないため病院で診察を受け、「発達障害」と診断されることもあります。

 また配偶者が心身の不調を生じる「カサンドラ症候群(※2「用語解説」をご参照ください)」という症状もマスコミ等で取り上げられるようになるなど、成人の発達障害が話題となることが多くなっていきています。

 発達障害であることがまだわかっていない大人が繰り返しミスをしたり、問題を起こしたりすると、「自覚を持てば変えられるはずだ」「できないのは怠慢だ」などと職場や家庭などで言われ、それが続き抑うつ状態や対人恐怖などの二次障害をおこすこともあります。その二次障害の治療のための受診で発達障害がわかる場合もあります。

 大人の発達障害も医療機関などで専門家のアドバイスを受け、職場や家庭などでの生活を円滑に営んでいけるようすることが大切です。最近では「大人の発達障害」に対応する医療機関も増えてきています。また専門医による「大人の発達障害」に関する書籍も多く出されています。日常生活、就労を上手くすすめるためのスキル等が書かれている本もあります。

 

用語解説

※「大人の発達障害」「カサンドラ症候群」のいづれの用語も、現在のDSM(アメリカ精神医学会が作成する『精神障害の診断と統計のための手引き』)その他に認められている医学的な用語ではありません。

大人の発達障害

 発達障害は脳機能の発達のアンバランスさにあるとされています。

なぜ大人になるまで発達障害があるとわからなかったのでしょうか?

 「発達障害」という言葉がひろまったのも最近であることもありますが、さらには

以下、NHK福祉ポータルハートネット「大人の発達障害」より)

 『考えられるのは、周囲の環境や人間関係によってカバーされていた場合です。学校では、決められた日課に沿って生活し、与えられた課題をこなしていれば、人付き合いが苦手であってもあまり問題にはなりません。勉強ができれば、多少場違いな行動があっても、先生や親がフォローしてくれるでしょう。家族や先生、仲のいい友達といった限られた人間関係の中では、発達障害の特性も「個性的」ということで認めてもらえていたかもしれません。

 しかし社会人になると人間関係は複雑になり、いろいろな人とやりとりをしなければならなくなります。相手の表情や空気を読み取ったり、周囲に合わせて行動するなど、高度なコミュニケーション能力や社会性を要求されるようになります。また仕事や学習においても、人から与えられるものだけでなく、自ら計画を立て、主体的にアプローチしていくことが求められます。そうした周囲からの要求によって、それまで潜在的にあった特性が一気に浮かび上がってきて、社会生活に支障をきたすということが考えられます。』

 

「大人の発達障害」のよくある事例

 以下の特性があるからといって、発達障害というわけではありません。程度の差がありますが、発達障害でない人も以下のようなことはあります。必ず専門医の診察を受けて下さい。

  • ●落ち着きがなくソワソワしている。
  • 気が散りやすく、集中できない。
  • 思いつきで行動してしまう。
  • 期限が守れず、先延ばしになる。
  • ●約束が守れない。
  • ●金銭の管理が苦手。
  • ●家事が苦手。
  • マイナス思考と劣等感。
  • 空気が読めない。人の話が聞けない。
  • ●おしゃべり。思ったことをすぐに口にして相手を傷つける発言をする。
  • 整理整頓ができず、忘れ物が多い。物の管理、片付けが苦手。
  • 飽きっぽい。1つのことが長続きしない。
  • 計画性がなく、管理が不得手。
  • のめり込みとマニアックな傾向。
  • ●対人関係がうまく出来ない。
  • ●会話のキャッチボールができない。
  • ●1つのことに異常な興味を示す。
  • ●感覚、知覚の異常。…など

カサンドラ症候群

 カサンドラ症候群とは、アスペルガー症候群がある人とのコミュニケーションがうまくいかないことによって、家族や友人など、アスペルガー症候群の人の身近にいる人に心身の不調が生じる二次障害のことです。特に妻や夫といったパートナーに起こる場合が多いと言われています。

 アスペルガー症候群のパートナーを持った配偶者は、コミュニケーションがうまくいかずわかってもらえないことから自信を失ってしまう、また、世間的には問題なく見えるアスペルガーのパートナーへの不満を口にしても人々から信じてもらえない、その葛藤から精神的、身体的苦痛が生じるという仮説であります。

 夫との情緒的交流がうまくいかない妻は、何が何だか理由はわからないけれど苦しい、周囲は苦しんでいることを理解してくれないという二重の苦しみの状態にあります。本人が問題の本質がわからないこと、周囲が問題の存在さえ理解してくれないこと、この二つの要素が現在のカサンドラを巡る問題の本質になっていると言われます。

 症状としては、身体的なものと精神的なものがあります。症状の程度によっては、日常生活に困って医療機関を受診しなければならないほどまで、高いストレス状態に陥ってしまう場合があります。代表的な症状は

偏頭痛
体重の増加または減少
自己評価の低下
パニック障害
抑うつ
無気力
自律神経失調症 などです。

 

 

 

 

 

 

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