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認知症とは?~認知症の基礎知識~②

 このコラムでも「認知症とは?~認知症の基礎知識~」などで繰り返し認知症を取り上げてきましたが、今回は政府広報オンライン「もし、家族や自分が認知症になったら知っておきたい認知症のキホン」をもとに「認知症の基礎知識」の第二弾をお伝えします。

「もしも認知症になったら!」

 「もしも、親や身近な人、あるいは自分自身が認知症になってしまったらどうしよう!…そんな不安を抱いたことはありませんか。そもそも、認知症とは?症状が出たらどうすればいい?家族や周囲は、本人とどう接したらいいの? 困ったときに気軽に聞ける相談先は?そんな疑問にお答えします。

 

そもそも「認知症」って?

記憶や判断力の障害により、生活に支障をきたす状態

 「認知症」とは老いにともなう病気の一つです。さまざまな原因で脳の細胞が死ぬ、または働きが悪くなることによって、記憶・判断力の障害などが起こり、意識障害はないものの社会生活や対人関係に支障が出ている状態(およそ6か月以上継続)をいいます。

どれくらいの割合で認知症の人はいるの?

 日本では高齢化の進展とともに、認知症の人数も増加しています。65歳以上の高齢者では平成24年度の時点で、7人に1人程度とされています。なお、認知症の前段階と考えられているMCI(※)の人も加えると4人に1人の割合となりますが、MCIの方がすべて認知症になるわけではありません。また、年齢を重ねるほど発症する可能性が高まり、今後も認知症の人は増え続けると予想されています。

※:MCI=Mild Cognitive Impairment
 正常と認知症の中間ともいえる状態のことですが、日常生活への影響はほとんどなく、認知症とは診断できません。MCIの人のうち年間で10~15%が認知症に移行するとされています。

 

「加齢」と「認知症」の違い

 年をとればだれでも、思い出したいことがすぐに思い出せなかったり、新しいことを覚えるのが困難になったりしますが、「認知症」は、このような「加齢によるもの忘れ」とは違います。

 例えば、体験したこと自体を忘れてしまったり、もの忘れの自覚がなかったりする場合は、認知症の可能性があります。

 

「加齢によるもの忘れ」と「認知症によるもの忘れ」の違い(一例)

加齢によるもの忘れ 認知症によるもの忘れ
体験したこと 一部を忘れる
例)朝ごはんのメニュー
すべてを忘れている
例)朝ごはんを食べたこと自体
もの忘れの自覚 ある ない
探し物に対して (自分で)努力して見つけようとする 誰かが盗ったなどと、他人のせいにすることがある
日常生活への支障 ない ある
症状の進行 極めて徐々にしか進行しない 進行する

 

代表的な認知症

 認知症の疾患として、代表的なものは次のとおりです。いくつかの認知症の原因として、異常なタンパク質が脳に溜まることや、脳の神経細胞が死ぬことにより発症することが報告されています。

・アルツハイマー型認知症
 最も多いパターン。記憶障害(もの忘れ)から始まる場合が多く、他の主な症状としては、段取りが立てられない、気候に合った服が選べない、薬の管理ができないなど。

・脳血管性認知症
 脳梗塞や脳出血、脳動脈硬化などによって、一部の神経細胞に栄養や酸素が行き渡らなくなり、神経細胞が死んだり神経のネットワークが壊れたりする。記憶障害や言語障害などが現れやすく、アルツハイマー型と比べて早いうちから歩行障害も出やすい。

・レビー小体型認知症
 幻視や筋肉のこわばり(パーキンソン症状)などを伴う。

・前頭側頭型認知症
 会話中に突然立ち去る、万引きをする、同じ行為を繰り返すなど性格変化と社交性の欠如が現れやすい。

 なお、遺伝によるケースは稀であり、さらに働き盛りの世代でも発症するおそれもあることから、認知症は誰にでも起こりうる病気と言えます。

 

どんな症状が出るの?

 認知症には、「中核症状」と「行動・心理症状」の二つの症状があります。

中核症状

 中核症状とは、脳の神経細胞が死んでいくことによって直接発生する次のような症状で、周囲で起こっている現実を正しく認識できなくなります。

(1)記憶障害

 新しいことを記憶できず、ついさっき聞いたことさえ思い出せなくなります。さらに、病気が進行すれば、以前覚えていたはずの記憶も失われていきます。

(2)見当識(けんとうしき)障害※

 まず時間や季節感の感覚が薄れ、その後に迷子になったり遠くに歩いて行こうとしたりするようになります。さらに病気が進行すると、自分の年齢や家族などの生死に関する記憶がなくなります。
見当識(けんとうしき)・・・現在の年月や時刻、自分がどこにいるかなど基本的な状況を把握すること。

 

(3)理解・判断力の障害

 思考スピードが低下して、二つ以上のことが重なると話している相手が誰かわからなくなるなど考え分けることができなくなるほか、些細な変化やいつもと違うできごとで混乱を来す、などの症状が起こりやすくなります。例えば、倹約を心がけながら、必要のない高額商品を購入したり、自動販売機や駅の自動改札・銀行ATMなどの前でまごついたりしてしまうようになります。

(4)実行機能障害

 買い物で同じものを購入してしまう、料理を並行して進められないなど、自分で計画を立てられない・予想外の変化にも柔軟に対応できないなど、物事をスムーズに進められなくなります。

(5)感情表現の変化

 その場の状況がうまく認識できなくなるため、周りの人が予測しない、思いがけない感情の反応を示すようになります。

 

 

行動・心理症状

 本人がもともと持っている性格や環境、人間関係など様々な要因がからみ合って起こる、うつ状態や妄想といった心理面・行動面の症状です。

[症状例]

(能力の低下を自覚して)元気がなくなり引っ込み思案に
(今まで出来たことが上手く出来なくなって)自信を失い、すべてが面倒に
(自分のしまい忘れから)他人へのもの盗られ妄想
(嫁が家の財産を狙っているといった)オーバーな訴え・行動がちぐはぐになって徘徊

 

 

 

 認知症とは?~認知症の基礎知識~③」では、「予防方法」「家族や周囲の対応」などについてお伝えします。

 

出典

政府広報オンライン「もし、家族や自分が認知症になったら知っておきたい認知症のキホン」など

 

 

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