ワライフ認知症講座 第22回 コウノメソッド 第4回認知症治療研究会


コウノメソッド

患者・家族ファーストの認知症医療

 認知症は現在でこそ治療の価値ある病気とされていますが、わずか20年前までは「治療しても治らない」「もう年なのだから仕方がない」と、医療からほとんど見捨てられていました。実際、医師には打つ手が何もありませんでした。そうしたなかで、強い向精神薬や睡眠薬で強制的に患者さんを「寝かせる」ことが行われていたのです。河野和彦先生は、そのころから総合病院の老年化でたくさんの認知症(当時は痴呆症)の患者さんを診てきました。なんとか良くならないかと、患者さんの立場に立って治療をつづけてきました。

 河野先生は「患者ファースト、家族ファースト」です。学会や専門医の話を鵜呑みにせず、だれも使わない大昔の薬やサプリメントも効果があるとなればこだわりなく使います。それは河野先生「医者は患者をよくしてナンボ」という強いポリシーがあるからです。

 

効果の高い正しい医療だが、なぜか一般に行われていない

 この河野先生が2007年にインターネット上で発表したのが、認知症治療のための処方マニュアル「コウノメソッド」です。認知症という病気に対して、ここまで精密に、臨床の診断と処方のやり方をマニュアル化したものは初めてでした。一人の臨床医が、なぜこのような優れたマニュアルをつくることができたのでしょう。

 

 患者さんが教えてくれました」と河野先生は言います。症状を改善するために薬を飲んでもらう、するとどうなるか、患者さんが教えてくれるというのです。その患者さんからの答えを忠実に体系化したものが「コウノメソッド」です。コウノメソッドは毎年、年末近くになると更新され、進化しつづけています。それは、発表後もさらに患者さんから「それは違うよ」と教えてもらえるからなのです。(※現在、一般公開はありません。)

 

 

 河野先生は2009年に「名古屋フォレストクリニック」を開業し、現在も全国から集まる認知症患者さんを治しつづけています。その成果はおどろくべきものですが、認知症の学会は「コウノメソッド」を完全に無視して、現在もドネペジル(※)の事実上の増量規定を支持しています。「コウノメソッド」は認知症の周辺・心理症状を確実にコントロールするとてもよい方法なのですが、その治療は一般的には受けられないのです。それでもコウノメソッド実践医は、現在では全国に公開している方だけでも350名を超えました。そこに私たちの一縷の望みがあります。

※ドネべジル…認知症の症状を軽くするお薬です。アルツハイマー型またはレビー小体型認知症の治療に用います。

コウノメソッド

 河野医師が30年の経験をもとに無料公開した認知症の処方マニュアル。病型と症状に細かく対応したきわめて現実的なもので、現場の即戦力になる。

コウノメソッド実践医

 コウノメソッドに準じて認知症医療 を行うと宣言した医師。河野先生と オンラインで相談を受けながら患者さ んの治療に当たることができる。

 

医療も介護も集う「認知症治療研究会」

 2015年3月、コウノメソッドを支持する医師、歯科医、看護師、薬剤師、ケアマネジャー、介護士らが世話人となって「認知症治療研究会(代表世話人・堀智勝医師)」が設立されました。

 「認知症医療を変えよう」という河野先生はじめたくさんの人たちの悲願を現実にするための研究会です。年に1度の研究会はすでに4回を重ね、ますます盛況でした。研究会は会員になれば参加できます。また、医療従事者でなくても認知症の介護経験があればだれでも会員になれます。

認知症治療研究会

 

 

第4回認知症治療研究会

 2018年3月開催された第4回認知症治療研究会で筆者も講演を行ってきました。演題は「コウノメソッドを広める」。

これまで全国各地で講演を行ってきたデータの発表や、認知症介護を行う上で必要な知識をどのように伝えていくかを中心に発表を行いました。現在、介護業務につく従事者の8割が認知症薬物療法に対して否定的な考えを持っていることが分かりました。それは現在まで「認知症=介護」という教育が行われてきたからです。福祉系の学校や認知症講習会でも基本は非薬物療法で行うことが良い介護であるということが前提でした。

 その結果、介護現場では精神的・肉体的負担が大きくなっているのです。離職率も社会問題になっています。

 コウノメソッドを適切に伝えていく環境があれば、それらの課題を解決していくことができるでしょう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

  • 一般社団法人 認知症ケアアドバイザー協会 代表理事
  • 介護支援専門員・介護福祉士
  • 認知症治療研究会 会員
  • 抗認知症薬の適量処方を実現する会 会員

 

 

 

 

認知症介護メール相談を無料で受け付けていますのでお気軽にお問合せください。

一般社団法人認知症ケアアドバイザー協会

Email       miyabi-house@katch.ne.jp

 

WEBワライフ「ワライフ認知症講座 第21回 加齢と認知症」

 

 

 

 

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